研究課題
これまでの着衣状態エンジニアリングは,一つの超伝導原子が一つの共振器に分散的に結合している系において,原子に適切なドライブ波を印加することにより行われてきた.我々は過去の研究で,この系をマイクロ波領域の単一光子検出器として活用したが,この検出器では検出されるべき信号光子と,超伝導原子の状態測定を行うための読み出しパルスとを同じポートから入力する必要があった.そのため,一定のゲート時間内に光子が入射したか否かを識別するゲート型光子検出器としてしか動作しなかった.一方,光子の入射するタイミングを予め知ることなく測定できる連続測定型の光子検出器はまだ開発されていない.超伝導原子が二つの共振器に結合している系では,一方を信号光子捕獲用,もう一方を原子状態測定用として原子状態を連続的にモニターすることによって,検出器を連続検出型へと拡張することができる.本年度は,理化学研究所の実験グループとの共同研究により,連続測定型のマイクロ波光子検出器のデモンストレーションを行った.二つの共振器の分散シフトが大きく異なっている原子-2共振器系を用いて,世界で初めて連続型のマイクロ波光子検出に成功し,約40%の量子効率を達成した.効率の不完全性の原因は,原子状態読み出しパルスが超伝導原子を脱励起してしまうことである.また読み出しパルスは信号光子無しの場合でも原子を励起してしまうために,暗計数の原因ともなる.分散シフトの異なりを更に大きくすることで,検出器の性能を向上できる.
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Physical Review A
巻: 99 ページ: 013816
https://doi.org/10.1103/PhysRevA.99.013816