研究課題
本研究では、今まで制御することが難しかった超高強度レーザーと薄膜との相互作用によって圧制する超高強度電場の時間・空間的な形状を積極的に制御することを試みる。この電場はレーザー駆動イオン加速ビームの「多価電離過程および加速過程」の両者をつかさどるため、発生するビームの質を大きく左右する。レーザーの時間・空間位相を制御することで、時間・空間的にフラットトップな形状を持つレーザーパルスを形成し、薄膜ターゲットと相互作用させ、時間・空間的に一定な電場を形成することで、「単一電荷分布」、「準単色化エネルギースペクトル」を持つ「コリメートされた」イオンビームを生成することを目的とする。
1: 当初の計画以上に進展している
量研機構・関西研におけるJ-KAREN-Pレーザーを用いて、時間位相をおよびレーザーの波面をacoustic optics (dazzler)およびデフォーマブルミラーを用いることで制御を試みた。特に時間位相を制御することで、レーザーのパルス波形を変化させ、固体薄膜ターゲットと相互作用させることで、レーザー駆動電子線、およびイオン線の発生の違いを、特にエネルギースペクトルに対して計測することに成功した。これらのデーターに関しては現在解析中であり、特にレーザーが固体薄膜と相互作用し、吸収されるメカニズムを議論できるデータセットとなっており、論文化に値すると考えている。
J-KAREN-Pレーザーによって取得されたデータセットを解析することで、論文化につなげる。さらに、レーザーのパルス波形を制御した際のイオンおよび電子のスペクトルだけではなく、空間分布を計測することを試みる。さらにレーザーの波面を制御した際にも同様のスペクトル、空間分解された、イオンおよび電子のスペクトルを計測することで、当初の目的としている、レーザー駆動イオン線のスペクトル、発散角度、を制御することを試みる。
本科研費の交付決定が10月であったため、すぐに執行できなかったのが大きな理由である。
H28年度購入予定であった光学部品およびその他に関しては、速やかにH29年度に購入し、H29年度後半に予定されている実験に向けたセットアップを行いデータ取得が可能となるよう、予算の使用を行う予定である。
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