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2018 年度 実施状況報告書

Stokes抵抗の微視的な理論

研究課題

研究課題/領域番号 16K05512
研究機関新潟大学

研究代表者

吉森 明  新潟大学, 自然科学系, 教授 (90260588)

研究分担者 秋山 良  九州大学, 理学研究院, 准教授 (60363347)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード外場のもとでのStokes抵抗 / 外場による抵抗の増加 / 溶液中の分子の摩擦
研究実績の概要

【目的】
流体中で分子を一定速度で動かすと流体から力を受ける (Stokes 抵抗)。この抵抗力は、液体中の分子に外場を加えて束縛すると分子が自由に運動する場合に比べ 6 割も大きくなることが、分子動力学シミュレーション で示されている。Stokes 抵抗は拡散係数と Einstein の式で関係付くので、分子を外場で束縛すると拡散係 数が 4 割減少することになる。ここでは、拡散係数の減少あるいは抵抗力の増大を理解するために、緩和の空間 スケールに注目し、Stokes 抵抗に最も重要な液体の緩和の長さを明らかにする。

【理論】
Stokes 抵抗を受ける分子を溶質とし、外場をかけて束縛しそれを溶媒に沈めた系において、抵抗係数を計算する理論を定式化する。抵抗係数は Gree-Kubo 公式を使って、溶質にかかる力の時間相関関数で表せる。相関関数は、溶質と溶媒の両方含んだ密度場で与えられ、ここでは溶媒と溶質の相関関数の積で近似する。さらに、 空間についてフーリエ変換を行った。
ここで、溶媒の密度場の時間相関関数がある緩和時間を持った一つの指数関数で表されるという仮定を行う。 その仮定から抵抗係数 γ はボルツマン定数、温度、溶質の緩和を表す時間相関関数、仮定により 1 つの指数関数で表されている溶媒の 時間相関関数で表されることが分かった。溶質の緩和を表す時間相関関数は外場のもとでのオーバーダンプのランジュバン方程式から求めた。この時、 溶質の緩和を表す時間相関関数は γ を含んでいるので、得られた式は自己無矛盾な式である。ここでは、この自己無矛盾な式 を、溶質に全く外場をかけずに束縛しない場合と、無限に強い外場で束縛する 2 つの極限を考えて解いた。この結果を分子動力学simulationと比較した所、4% 以内で一致した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画では、2018年度までに物体が内部自由度を持つ場合の応用の計算になっていたが、現在、それはすでに終り、さらに、無限大の極限の検討はほとんどの場合に終っている。さらに、接線方向の力が働かない場合ではあるが、摂動の次のオーダーまで計算できて、その次の段階の外場の影響の研究に入った。

今後の研究の推進方策

溶質の大きさを変えたものについて、MDとの比較を行い、理論の妥当性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

当初計画より、研究が進展したので、成果の発表を当初計画より最終年度より多くするため、旅費を最終年度にまわした。また、大学院生に研究の一部に参画してもらうため、大学院生の旅費も当初計画より必要になった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Freie Universtat Berlin(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Freie Universtat Berlin
  • [雑誌論文] Reciprocal relations associated with linear responses to mechanical and thermal perturbations in nonequilibrium Langevin systems2018

    • 著者名/発表者名
      Yamada Kazuo、Yoshimori Akira
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: 98 ページ: 042120

    • DOI

      https://doi.org/10.1103/PhysRevE.98.042120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stick boundary condition at large hard sphere arising from effective attraction in binary hard-sphere mixtures2018

    • 著者名/発表者名
      吉森 明
    • 雑誌名

      吉森 明

      巻: 148 ページ: 124502~124502

    • DOI

      https://doi.org/10.1063/1.5025202

  • [学会発表] Microscopic expressions of boundary conditions in Stokes’ law2019

    • 著者名/発表者名
      吉森明
    • 学会等名
      THE BERKELEY STATISTICAL MECHANICS MEETING
    • 国際学会
  • [学会発表] 溶液中の分子の摩擦に対する外場の効果2019

    • 著者名/発表者名
      吉森 明
    • 学会等名
      物理学会
  • [学会発表] 拡散係数のStokes-Einstein 則からのずれに対するミクロな表式2018

    • 著者名/発表者名
      吉森明
    • 学会等名
      物理学会

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公開日: 2019-12-27  

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