• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

エントロピー力で駆動される高分子結晶の空隙への分子吸蔵

研究課題

研究課題/領域番号 16K05521
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

千葉 文野  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20424195)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード多孔性物質 / 共結晶 / 枯渇相互作用 / 高圧力 / インターカレーション
研究実績の概要

本研究では、空隙のある高分子結晶フィルムを様々な溶液に浸漬し、空隙への溶媒分子の取り込みを主として赤外分光法により研究した。また、高分子をホスト、溶媒を構成する分子をゲストとする、ホスト―ゲスト共結晶の構造をX線回折により測定した。実験結果の解釈においては、ホスト―ゲスト間に枯渇相互作用が働くと考え、液体の積分方程式理論と2成分Asakura-Oosawa理論を用いた計算を行い、実験結果を定性的に説明することに成功した。
最初に、ホスト―ゲスト構造を構成することが既に良く知られている高分子sPS(syndiotactic polystyrene)に関する研究を行った。sPSフィルムをクロロホルムとヘキサンの混合溶媒に浸漬するとヘキサンを優先的に吸蔵すること、クロロホルムとヘキサンの混合溶媒自体は、理想的な混合となっていることを、赤外分光法により確認した。
次に、研究代表者が、空隙を有する高分子として2005年から取り組んでいるP4MP1(Poly(4-methyl-1-pentene)についても、同様の実験を行った。まず、研究代表者は、この高分子の溶融体に関する知見を有しているので、溶融体が多孔性液体としてふるまうことを高圧力実験により見出し、論文発表を行った。更に、この高分子が結晶状態において、室温で様々な低分子とホスト―ゲスト共結晶構造を作ることを見出した。P4MP1の共結晶構造については、X線回折により、その可能性が以前より他の研究者により示唆されていたが、今回のX線回折実験結果は、それを裏付けるものとなった。また、アルカン二元混合溶媒に高分子フィルムを浸漬し、選択的吸蔵現象を見出した。このゲスト選択性は、sPSについては既に知られた現象であったが、本研究でポリオレフィンであるP4MP1についてこれを発見し、その選択性の原理を枯渇相互作用により説明できることを示した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Intensity distribution profile of double Bragg scattering in the small-angle region from highly oriented pyrolytic graphite2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshinori Ohmasa, Ayano Chiba
    • 雑誌名

      Acta Crystallographica Section A

      巻: 74 ページ: 681-698

    • DOI

      10.1107/S2053273318012469

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Peculiar atomic dynamics in liquid GeTe with asymmetrical bonding: Observation by inelastic x-ray scattering2018

    • 著者名/発表者名
      M. Inui, A. Koura, Y. Kajihara, S. Hosokawa, A. Chiba, K. Kimura, F. Shimojo, S. Tsutsui, and A. Q. R. Baron
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 97 ページ: 174203-1-10

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.97.174203

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular absorption in the porous polymer crystals of P4MP1 and sPS2018

    • 著者名/発表者名
      Ayano Chiba
    • 学会等名
      The 12th Mini-Symposium on Liquids
    • 国際学会
  • [学会発表] 液体Sbの非弾性X線散乱測定2018

    • 著者名/発表者名
      乾雅祝, 梶原行夫, 中島陽一, 萩谷透, 松田和博, 細川伸也, 千葉文野, 内山裕士, 筒井智嗣
    • 学会等名
      日本物理学会2018年秋季大会
  • [産業財産権] ポリオレフィン系重合体並びにそれを用いた有機化合物の吸着、吸蔵及び分離2019

    • 発明者名
      千葉 文野
    • 権利者名
      学校法人慶應義塾
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2019-067703

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi