• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

相分離状態の脂質膜に外来物質が誘起する孔構造の時間・空間解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K05525
研究機関鈴鹿工業高等専門学校

研究代表者

丹波 之宏  鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50436911)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード脂質膜 / ポア形成
研究実績の概要

本研究では、秩序液体相(lo相)と液晶相(ld相)の2つの相からなる脂質膜に形成される孔(ポア)に着目し、力学的な引っ張り張力により脂質膜に形成される、あるいは外来物質により誘起されるポアの安定性や動的構造をその形成位置も含め明らかにする。平成30年度は、様々な組成を持つ巨大な単一膜ベシクル(GUV)の脂質膜にマイクロピペットアスピレーション法を用い引っ張り張力を与え、それにより誘起されるポアの力学的な安定性を調べた。脂質膜は、飽和脂質、不飽和脂質およびコレステロールの混合比によりlo相のみの脂質膜、ld相のみの脂質膜、ldとlo相が共存し相の分離が観測される脂質膜と、その物性を変化させることが知られている。研究ではそれぞれの脂質膜について一定の張力が印加された際のポアの形成速度を求め、ポアの安定性を決定付ける脂質膜の線張力を理論モデルに基づきそれぞれ推定した。すると、ld相とlo相の共存膜とld相のみからなる脂質膜の線張力は概ね等しかったのに対し、lo相のみからなる脂質膜の線張力はそれらに対し非常に大きな値を示した。これはlo相とld相に相分離した脂質膜において張力が誘起するポアはld相に形成されたことを示唆する。しかし、線張力の値は脂質膜に含まれる微小量の混在物の影響を強く受けるため、その詳細を現在測定中である。また脂質膜にポアを誘起する外来性物質としてエピガロカテキンガレート(EGCg)を用い、ld相の脂質膜の膜面積に与える影響を調べる測定系を確立した。EGCgがGUVの脂質膜の面積に与える影響には張力依存性があり、これはEGCgが脂質膜にポア形成を誘起するメカニズムを考察するうえで貴重な知見を与えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、液晶相、秩序液体相、およびそれらの相が相分離状態にある脂質膜に張力を印加し、その力学的安定性を単一GUV法により調べた。またそれらの結果に基づき、脂質膜に形成されたポアの力学的安定性の理論モデルを用い、それぞれの脂質膜系における線張力の大きさを見積もった。これにより相分離状態にある脂質膜に張力が誘起するポアの形成位置についての知見を得たが、その詳細についてはまだ検討が必要である。一方、脂質膜にポアを誘起する外来性物質としてエピガロカテキンガレートを用い、これが液晶相の脂質膜の膜面積に与える影響を明らかにした。以上の進捗状況は当初計画より若干の遅れがみられている。

今後の研究の推進方策

次年度は、線張力の値に脂質膜に含まれる微少量の混在物が与える影響を明らかにし、相分離した脂質膜に張力が誘起するポアの形成位置を明らかにしていく。また、相分離状態にある脂質膜においても飽和脂質、不飽和脂質およびコレステロールの成分比が線張力に与える影響を明らかにしていく。さらにエピガロカテキンガレートなどの外来性物質が脂質膜に誘起するポアについて、そのポア形成のメカニズムや、ポアの形成位置と脂質膜の物性の関連を調べていく。

次年度使用額が生じた理由

現在研究を行う上で不便となっている顕微鏡用のカメラや周辺機器の充足、消耗品の購入に充てる予定である。現在のところ研究の進捗状況をふまえつつ機器の設置の優先順位について検討中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Effect of lateral phase separation on mechanical stability of lipid membrane2018

    • 著者名/発表者名
      Mika Terada, Yukihiro Tamba
    • 学会等名
      日本生物物理学会
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/read0101559/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi