研究課題/領域番号 |
16K05528
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中原 恒 東北大学, 理学研究科, 准教授 (20302078)
|
研究分担者 |
江本 賢太郎 東北大学, 理学研究科, 助教 (80707597)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | コーダ波干渉法 / 感度カーネル / デコリレーション / 地震波速度 / 地震波散乱 |
研究実績の概要 |
雑微動の相互相関関数のデコリーレーションの感度カーネルについて,これまでは,スカラー波を仮定したモデル化のみが行われていた.しかし実際の地震波はベクトル波であるため,問題があった.そこで,2次元1次等方散乱モデルに基づき,デコリレーション変化の近似ベクトル感度カーネルを新たに導出した.1次散乱なのでカーネルは散乱殻上のみに感度をもつことを確認した.また,感度カーネルがゼロになる場所が存在し,それらの場所は水平成分と鉛直成分とでは異なることが分かった. 地震波干渉法による地震波速度変化のモニタリングを自動化するための基礎研究として,平常時の地震波速度変化が従う統計的分布を調べたところ,ガウス分布になる場合と切断レイリー分布になる場合があることが分かった.その違いの原因はまだよくわからないが,現在の地震波速度変化が異常かどうかを統計に基づき定量的に判断できるようになった. 桜島で地震波干渉法を用いたデコリレーション変化のモニタリングを行ったところ,2015年8月15日のダイク貫入イベントの前の2015年4月頃からデコリレーションのゆっくりとした増加が見られ,7月には中央部の観測点ペアに対して急激なデコリレーションの増加が見られた.このような先行的な変化の検出は,地震波干渉法が火山のモニタリングに有用であることを示す証拠である. 広島県北部で発生した地震による波動伝播を,Hi-netのデータを用いてエネルギー場として可視化した.周期16秒から2秒とやや長周期帯であっても微細不均質による散乱が重要であることがわかった.3次元差分法計算によりこの観測結果をモデル化し,地殻内部の微細不均質構造を推定することに成功した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究自体の進捗は当初の想定通りで,大きな問題はない.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでのところ研究は順調に進んでおり,今後も計画通り進めていくつもりである.
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究代表者が学務の都合で参加できない学会が多く,旅費の使用額が当初予定よりも少なくなった.またスパコンの使用料を計上していたが,共同研究者の独自予算をうまく利用できたので,本予算を利用せずに済んだ.次年度はできるだけ都合を調整して,研究代表者と研究分担者ともに関連する学会や研究集会に参加し,積極的に成果をアピールする予定である.
|