研究課題/領域番号 |
16K05538
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片尾 浩 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80221878)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 地震波干渉法 / 稠密地震観測 / 地殻内反射面 / 微小地震活動 |
研究実績の概要 |
現在京都大学防災研究所が近畿地方北部で行っている稠密地震観測ではオフラインで地震波形を連続して現地収録し,これらをほぼ半年に1度回収している。これらに,大学,気象庁,防災科学技術研究所等によるオンライン高感度地震観測網のデータを加えて統合し,現在までに約7年間におよぶ連続波形データが取得されている。連続地震波形データの容量は230GB/月に達する。従来,蓄積されていたデータはオフラインの磁気テープに収録されていたが,本研究では昨年度までにこれらのデータを大容量ストレージ上に転送して,ランダムアクセスによる解析が可能な環境を整えた。また,新たに収録/編集されたデータも順次,大容量ストレージに追加する作業を行った。 本研究では,近畿地方北部の地殻深部に存在するS波反射面について,地震波干渉法を応用することによってその詳細な分布範囲や形状を捉えることを目指している。平成29年度は,従来の地震観測によって,地殻深部反射面からの反射波が最も顕著に観測される京都府亀岡市周辺の観測点のデータを用いて,連続記録の自己相関関数を求め,それらを長期間にわたりスタッキングすることで,反射波に対応するシグナルの検出を試みた。1時間の連続地震波形に対して1サンプルずつずらしながら最大30秒間の自己相関関数を計算した。それら1時間毎の自己相関関数を,1ヶ月~2年間にわたりスタッキングして得られた関数波形から反射波シグナルの検出を試みた。 現在までの解析では,顕著な反射波シグナルを検出することには成功していない。今後は,適切なフィルタリングの導入など,解析法を改良することで,検出力を向上を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大容量ストレージ上の連続地震波形データの解析に着手したが,解析に必要な計算プログラムの整備に時間がかかった。自己相関関数解析により,地殻深部反射面からシグナル検出を試みたが,顕著なシグナルの検出には至らず,観測点の選定,解析プログラムの改良など試行錯誤を繰り返している状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの解析では,顕著な反射波シグナルを検出することには成功していない。地表における常時微動が,地殻深部の反射面に達して戻るまでの十分なパワーを持っていないことも考えられるが,今後常時微動や反射波の卓越周波数帯域を考慮した適切なフィルタリングを行うことで,検出力を向上させる可能性があり,平成30年以降はそうした丁寧な解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの解析では,目的とする顕著な反射波シグナルを検出することには成功していない。今後は,適切なフィルタリングの導入など,解析法を改良することで,検出力を向上を目指す予定である。次年度内に有効な解析アルゴリズムを確立するにはなお試行錯誤が必要だが,確率後はルーチン的に解析作業を進めるための補助解析装置を導入する。
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