研究課題/領域番号 |
16K05546
|
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
柳沢 俊史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (20371106)
|
研究分担者 |
吉田 二美 国立天文台, 国際連携室, 専門研究職員 (20399306)
伊藤 孝士 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (40280565)
奥村 真一郎 特定非営利活動法人日本スペースガード協会(スペースガード研究センター), スペースガード部門, 主任研究員 (40344270)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 近地球天体 / 観測手法 / 太陽系 |
研究実績の概要 |
これまで研究代表者が宇宙デブリ用に開発してきた検出アルゴリズムを改良し近地球小天体の新たな検出手法を開発した。具体的には大量の画像を高速で解析し、ノイズレベル以下の近地球小天体の検出が可能な専用FPGAボードの製作と関連するアルゴリズムの作成、一次解析計算環境の整備を実施した。28年度はここまでの作業予定であったが、思いのほか順調に作業が進んだため、作成したFPGAボード等をJAXA所有の入笠山光学観測施設に搬入し、施設内に設置されている18㎝望遠鏡2台及びCCDカメラCMOSセンサーを利用して実際の近地球天体を対象とした試験観測を実施した。その結果、4日の試験観測で近地球天体2つを発見した。日本での近地球天体の発見はおよそ9年ぶりである。本成果は、2月に実施された「シンポジウム天体の地球衝突問題にどう取り組むか」で発表され、その際、朝日新聞の記者にも取材を受け、後日朝日新聞に掲載された。28年度の成果により提案されている近地球小天体の正確な軌道・サイズ頻度分布を検証するための新たな検出手法、従来の観測手法では困難であった地球近傍を高速で移動する近地球天体の検出を可能にする手法が有効であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた作業が思いのほか順調に進行したことと、近地球天体検出用のアルゴリズムの改良が予想に比べて容易に実施することができたため。また、試験観測時に好天に恵まれたという点もあげられる。
|
今後の研究の推進方策 |
28年度には開発された新たな観測手法をつかうことにより2個の近地球天体の発見をすることができたが、試験観測をとおして解析アルゴリズムの不具合が相当数見受けられた。29年度はこれらの不具合を修正するとともに入笠山光学観測施設での試験観測を継続する。また、JAXAが豪州Siding Springs Observatoryに整備している遠隔観測装置を利用した試験観測も開始して新たな検出手法による近地球天体の発見数を増加させる。これにともない研究成果の査読論文への投稿や国際学会等での発表を精力的に行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国立天文台が担当しているウズベキスタンのマイダナク天文台の人件費について、天文台内のネット環境が劣悪であることが判明したため追跡観測用の準備を見合わせたことによる。
|
次年度使用額の使用計画 |
28年度に実施した試験観測の経験から計算機環境のさらなる拡充が必要であることが判明したため、28年度の繰越分は計算機の購入に充てる。
|