研究実績の概要 |
TMPA 3B42 衛星降雨データ,JRA-55 客観解析データを用い,アジア・太平洋域の暖候期における対流圏上層の総観規模擾乱による降水の変動を,コンポジット解析を用いて,上層のポテンシャル渦度変動の位相依存性という形で定量的に示した。その結果,従来から知られている上層擾乱との東西の位相関係に加え,位相非依存的に降水が起こりやすいところがあること,それは自身による先行研究(Horinouchi 2014)で示唆されたように,350 K 等温位面上の2 PVU程度の等渦位線に沿うことが明らかになった。そのメカニズムを,理想化した設定で,潜熱の効果を取り入れた準地衡解析を行って,明らかにした(そのためのモデル開発も行った)。その中で,下層ジェットの重要性と具体的なメカニズムが示された(Horinouchi and Hayashi, 2017)。
上層の総観規模擾乱と降水帯の関係を,暖候期に加え寒候期も,そして対象領域も全球に広げて,統計解析を行った。その結果,アジア・太平洋域の暖候期における関係性が,寒候期においても,そして他の亜熱帯降水帯でも成り立つことが示された。この研究では,降水と等温位等渦位線の関係性の季節・地域依存性もある程度明らかになった。(研究協力者である大学院生の修士論文。今後さらに研究を進めて学術雑誌に投稿の予定。)
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