DNSモデル実験を行い、潮流海底境界層の周期平均で見た乱流特性量(厚さHmix、拡散係数κ_ap)は自転の水平成分fcの影響を受け、特に低緯度海域では混合層は厚くなり(fcがない場合の1.3~2.0倍)、その内部では強い混合が引き起こされる(1.7~2.8倍)ことを明らかにした。このような混合強化は乱流運動エネルギーや摩擦速度には現れない特徴であり、特筆すべき成果である。加熱の日周変化は熱の下向き輸送を効率化し、海底境界層の発達を抑制する。潮流の混合効果をパラメタライズするためにはその振幅、周期、コリオリパラメータfsだけでなく、fcや加熱の日周変化の効果を考慮した慎重な検討が必要である。
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