研究課題/領域番号 |
16K05555
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中村 佳敬 神戸市立工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (70609817)
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研究分担者 |
森本 健志 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60403169)
本吉 弘岐 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任研究員 (70571462)
酒井 英男 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (30134993)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 冬季雷観測 / リモートセンシング / 大気電気学 |
研究実績の概要 |
本年度は能登半島から富山湾に至る降雪雲とその電気的活動を立体的に追跡する四次元観測を行うために,申請者らが富山県魚津市内にある魚津観測点で既に運用し観測しているKu帯レーダやVHF帯干渉計などに加えて,ディスドロメータや降雪降雨強度計,LF帯干渉計の設置場所の検討をおこない,これらの装置を用いた冬季雷観測にむけて各装置の動作確認と調整を行った.魚津観測点に設置してあるKu帯レーダについてはVHF帯干渉計など雷観測機器との夏季雷同期観測により観測点近傍の雷放電を伴う積乱雲の構造を詳細に観測できており,その動作は正常と判断し,現状のパラメタのまま冬季降雪雲観測を実施した. LF帯干渉計は夏にかけて作成し実験室での動作確認後に,9月から12月にかけて富山県下新川郡入善町,魚津市,富山市,射水市,氷見市の5ヶ所に設置した.これにより富山湾南部を囲うように観測点を配置することができた.各観測点では,LF帯干渉計設置後からすぐに雷放電に伴う電界変化波形の記録を開始した.11月3日,25日,12月6日,7日には富山県周辺で発雷が認められ,電界変化波形から,雷放電の初期放電過程といわれているPreliminary Breakdown Pulseやその後のリーダ進展に伴う単極性パルスが記録されていることを確認した.また,観測点が少ないながらも事後解析によりLF帯電磁波の位置標定を実現した.一方で,記録した事例の中には帰還雷撃に伴う電界変化が観測レンジを超えた為,波形の全体像が記録できていないものが存在した.このような事例の観測を行うためには,感度の調整が必要であることが判明した.このLF帯干渉計による試験観測について,その観測結果を日本大気電気学会第95回研究発表会や平成29年電気学会全国大会において対外発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LF帯干渉計を富山県南部に5ヶ所展開し試験観測を行い,その結果を対外発表した.一方でディスドロメータの動作確認とその調整に時間を要したため,本年度中に富山湾近くに設置することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度冬季に行った試験観測について,観測事例の評価を実施し,観測を継続して実施していく.特に,海洋上で発生した積乱雲が沿岸に到達し,そして上陸後に地上を移動する際に,どのように変化が表れているのかを詳細に観測する.そのために,Ku帯レーダが設置されている魚津観測点周辺の事例を中心に解析を行っていく.また,平成28年度に設置できなかったディスドロメータを魚津観測点周辺に配置するとともに,富山湾北部沿岸にLF帯受信機を設置することを検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
ディスドロメータ納品後の動作確認とその調整に時間を要したため,28年度中に富山湾近くに設置することができなかったため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度ディスドロメータを設置する際に使用する計画である.
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