研究課題
あけぼのPWS観測データを中心とした太陽・宇宙環境の長期変動に関する研究の3年次は、初年次、2年次に引き続き、各種波動イベントを識別するとともに、初年次、2年次で抽出した特徴が、太陽活動状況で、如何に変質するかを識別する事を、最大の目標とした。特に、放射線帯の長期変動における「新知見」を見出す事に注力する事とした。3年次の結果を、以下にまとめる。1.太陽活動の各フェーズにおいて発生する磁気圏擾乱は違いがあり、この違いによって、放射線電子増加に差異が認められた。具体的には、人工衛星に計測装置を搭載し、「放射線帯高エネルギー電子」の観測結果から、季節変動・長期変動を明らかにした。2.オーロラ活動に伴う地磁気擾乱と低周波プラズマ波動の発生が、放射線帯電子の消失(大気への降下)に大きく寄与している「新知見」が得られた。詳述すると、北米・北欧に独自に展開したユニークな低周波電波観測ネットワークを使用し、宇宙空間中の電磁場による散乱により、放射線帯の閉じ込めが破れて中層大気に降り注ぎ、大気を電離させている様子を明らかにした。また、統計的な処理から、太陽活動が活発な時期、磁気嵐の頻発時に、低周波プラズマ波動による消失の頻度が高い事実が認められた。3.太陽電波については、地上からの高分解電波観測に基づき、太陽嵐(フレア等)の発生に伴い出現する特徴的な電波現象を解析し、太陽嵐出現時には磁気流体波動と高エネルギー粒子が同時発生することを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件)
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