研究課題
木星放射線帯の高エネルギー電子(HE電子)から放射されるシンクロトロン電波(JSR)の観測から、その強度が1日で数10% 以上変化し 、数日スケールで繰り返し起こる「極短期変動現象」が存在する可能性が示されてきた。このことは木星放射線帯で、未知の大規模な変動が短時間に生じている可能性を示唆している。本研究では、JSR観測による極短期現象の出現特性の探査[課題1] 、科学街星の観測データに基づく木星磁気圏状態の探査[課題2] 、および、木星探査機等の観測・解析データも加えた極短期変動現象に関わるHE電子の加速過程の考察[課題3]に基づき、極短期変動現象の起源の究明を目指して行っている。H30年度は以下の研究を実施した。[対 課題1]名古屋大学の大型電波望遠鏡を用いて、H30年7~8月に327MHz帯のJSR観測を実施した。また、前年度までに情報通信研究機構の大型電波望遠鏡を用いて観測した2.3GHz帯の観測データの解析も併せて実施し、極短期変動現象の絞り込みを行った。[対 課題2] 前年度までの研究から、木星オーロラ電波には、磁気圏大規模短期変動である、磁気再結合現象に伴う電波成分が存在することを明らかにしてきた。H30年度は、米国のWIND衛星で観測された数100KHz~数MHz帯の電波の解析と、電波発生モデルを組み合わせた解析から、この特殊な電波の磁気圏内発生域を探るとともに、課題1で絞り込んだJSR極短期現象との対応を調査し、HE電子発生との関係が見込まれる磁気圏領域と磁気圏の変動状態の考察を進めた。[対 課題3]課題1で絞り込んだ時期の、課題2で考察した磁気圏領域について、公開されている木星探査機により得られた磁気圏粒子・磁場の直接観測データを参照し、JSR極短期現象発生前後のHE電子の変動特性の精査を行い、極短期変動現象の起源の考察を進めた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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