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2017 年度 実施状況報告書

木星極軌道探査機JUNOとLWAの同時観測による木星電波放射ビーム構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K05570
研究機関高知工業高等専門学校

研究代表者

今井 一雅  高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (20132657)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード木星電波 / 放射機構 / 地上観測 / 木星探査機 / モジュレーションレーン / 電波源の位置 / ビーム構造 / 偏波特性
研究実績の概要

2016年7月に木星に到達したNASAの木星極軌道探査機JUNOと、アメリカにある世界最高レベルの感度を持つ低周波電波望遠鏡LWAを使った木星電波観測により、木星電波の放射機構を解明する上で重要となる電波放射源の位置やそれに関連する電波放射ビーム特性を調べ、3次元的な木星電波放射ビーム構造を明らかにすることを目的としている。
LWAの観測データについては、木星電波のダイナミックスペクトラム上に見られる斜めの縞状構造のモジュレーションレーンに着目し、偏波特性を考慮したモジュレーションレーンの傾きの解析を行った。このモジュレーションレーンの測定によって、木星電波源の位置が推定でき、従来から同定されている木星電波源の衛星イオの位置に関連するIo-CとIo-Bについて、起源の異なる電波源の領域があることがわかった。それらを新たにIo-C'とIo-B'を呼ぶことにし、その電波源の領域が、衛星イオを貫く磁力線の根元で最もオーロラ発光強度が高い経度と一致するという重要な情報が得られた。特にIo-Cの領域においては、木星の北磁極側と南磁極側の両側から同時に電波が放射されていることがわかり、複雑な木星電波放射源の様相を明らかにすることができた。
また、JUNOで観測された木星電波観測データの解析から、従来の木星電波放射が木星の磁力線に対して角度を持ち磁力線に軸対称に放射されているとするコニカルシート状のビーム構造を支持する結果が出始めている。つまり、JUNOから見た木星電波の緯度方向のビーム構造は、コーン状の一部を見ていることを示しており、電波放射機構を解明する上で、非常に重要な情報を得ることができたことになる。今後、さらに多くのJUNOで観測された木星電波のデータ解析を行うことにより、コニカルシート状のビーム構造が一般的であるかの統計解析も行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

木星探査機JUNOは、53日で木星を周回する極軌道に入っており、順調に木星電波のデータが収集されている。当初の予定であった14日の周回軌道に入れない不具合があったものの、木星電波観測には支障がなく、さらにミッション期間が伸びたことが本研究では有利になってくると考えている。また、LWAの観測も順調に行われており、当初の目的であるJUNOとLWAの木星電波データを組み合わせた木星電波源のより詳細な情報を得ることができる予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、さらに多くのJUNOの観測データとLWA観測データの解析を進める。特に、LWA観測データのダイナミックスペクトラム上に見られる斜めの縞状構造のモジュレーションレーンについては、偏波情報も考慮に入れてその縞状構造の傾きを測定し、様々な木星磁場モデルをベースにコンピュータシミュレーションを行うことにより電波源の存在する磁力線の位置を特定する。また、JUNOで測定された詳細な木星磁場構造の新しい情報も含めて、電波源の位置関係と、3次元的なビーム構造との詳細な関係を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

研究を進める上で解析するデータが増えてきており、それに対応する処理システムが必要となるが、既設のデータ処理システムで対応できる状況であったため次年度使用額が生じた。翌年度は、データ量がさらに大きくなると考えられるので、それに対応する処理システムとして次年度使用額を利用する計画となっている。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] Middle Tennessee State University/Naval Research Laboratory/University of Iowa(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Middle Tennessee State University/Naval Research Laboratory/University of Iowa
    • 他の機関数
      3
  • [国際共同研究]

    • 他の国数
      1
  • [雑誌論文] Jupiter's Io-C and Io-B decametric emission source morphology from LWA1 data analysis2018

    • 著者名/発表者名
      K. Imai, C.A. Higgins, M. Imai, and T.E. Clarke
    • 雑誌名

      Planetary Radio Emissions VIII, edited by G. Fischer, G. Mann, M. Panchenko, and P. Zarka, Austrian Academy of Sciences Press, Vienna

      巻: none ページ: 89-101

    • DOI

      10.1553/PRE8s89

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] LWA1 Jupiter radio monitoring during the Hisaki observation campaign2017

    • 著者名/発表者名
      今井一雅、中山雄晟、Higgins Charles、今井雅文、Clarke Tracy
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会
  • [学会発表] Juno-Ground-Radio Observation Support Tools2017

    • 著者名/発表者名
      Baptiste Cecconi,、他50名、19番目 Kazumasa Imai
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会
  • [学会発表] Development status of the metadata server and data archives at Tohoku University for collaborative studies using planetary radio and spectroscopic data2017

    • 著者名/発表者名
      熊本篤志、土屋史紀、三澤浩昭、鍵谷将人、北元、木村智樹、垰千尋、今井一雅、中城智之、Baptiste Cecconi
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会
  • [学会発表] Source locations of Jupiter's decametric radio emissions measured by the modulation lane method2017

    • 著者名/発表者名
      Kazumasa Imai, Charles A. Higgins, Masafumi Imai, Tracy Clarke
    • 学会等名
      Magnetospheres of the Outer Planets, Uppsala University, Sweden
    • 国際学会
  • [学会発表] CubeSat project for the observation of Jupiter's decametric radio emissions2017

    • 著者名/発表者名
      Kazumasa Imai, Lkhagvadorj Sukhtsoodol, Mizuki Ando, Nobuto Hirakoso, KOSEN-Space-Renkei Group
    • 学会等名
      Magnetospheres of the Outer Planets, Uppsala University, Sweden
    • 国際学会
  • [学会発表] CubeSat project for the investigation of the beaming structures of Jupiter’s decametric radio emissions2017

    • 著者名/発表者名
      Kazumasa Imai, Lkhagvadorj Sukhtsoodol, Mizuki Ando, Nobuto Hirakoso, Taku Takada, Kentarou Kitamura, Charles A. Higgins, James R. Thieman
    • 学会等名
      第142回地球電磁気・地球惑星圏学会講演会(京都大学)

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-21  

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