研究課題
2016年7月に木星に到達したNASAの木星極軌道探査機Juno(ミッション期間が2021年まで延長された)と、アメリカにある世界最高レベルの感度を持つ低周波電波望遠鏡LWAを使った木星電波観測により、木星電波の放射機構を解明する上で重要となる電波放射源の位置やそれに関連する電波放射ビーム特性を調べ、3次元的な木星電波放射ビーム構造を明らかにすることが本研究の目的である。本研究では、Junoにより観測された長期間の木星電波データの解析を行うことにより、木星電波放射が木星の磁力線に対してある一定の角度を持ち、磁力線に軸対称に放射されているとするコニカルシート状のビーム構造を支持する結果を得ることができた。また、Voyagerで発見された孤立したアーク構造のRiddle Arcについては、衛星イオを貫くイオ・フラックス・チューブ(IFT)から電波放射されていると考えられているが、Junoの木星電波観測データでそれを確認することができ、緯度が北に高くなるほど明瞭に観測されることがわかった。一方、LWAの観測データを使って、このRiddle Arcに関連するモジュレーションレーンの傾きの測定を行った。このモジュレーションレーンの解析結果をもとに、Junoの観測データによる最新の木星磁場モデルであるJRM09を使ってシミュレーションを行い、木星電波源の位置に対応するリードアングルを調べた。その結果、電波源のリードアングルが0度に近いことがわかり、衛星イオを貫くイオ・フラックス・チューブ(IFT)の近傍からの電波放射を示唆する結果が得られた。以上のことから、Junoで観測されているRiddle Arcをさらに詳細に調べることにより、電波放射ビーム特性や3次元的な木星電波放射ビーム構造を総合的に明らかにすることが可能であることがわかった。
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