研究課題
当該年度では、ペルム紀末から三畳紀にかけての日本列島の付加体形成プロセスを検討するため、山口県周南市の錦層群および都濃層群、大阪府と京都府の境界部における丹波帯および超丹波帯の付加体、また付加体と正常層の関係を検討するために、山口県美祢市周辺の常森層と熊本県の球磨層群、高知県の新改層の岩相・層序の検討を行った。前者では、砂岩及び砂質片岩の砕屑性ジルコンからU-Pb年代を測定し、錦層群からペルム紀最後期の付加体を、都濃層群から三畳紀の付加体を新たに発見した。また、同時に行った丹波帯最古期の付加体中の砂岩で測定した砕屑性ジルコンのU-Pb年代が三畳紀に特有は年代パターンを示すことを明らかにした。また、錦層群からは、新たな炭酸マンガン塩団塊を新たに2箇所で発見した。残念ながら、あまり保存のよい放散虫化石は含んでいなかったが、錦層群の珪質泥岩には普遍的に炭酸マンガン団塊が含まれていることが明らかになった。さらに、白亜紀最前期の付加体と白亜紀後期の付加体の間のギャップについて検討するために、和歌山県白浜町周辺で、地質調査を実施し、メランジュの変形の年代ごとの変遷について研究を行った。これらの研究成果は、2017年日本地質学会第123年学術大会(松山:愛媛大学)で1件の研究発表を行うとともに、国際放散虫研究集会(Interad2017)で、新しいペルム紀放散虫化石の内部構造を発表した。さらに、第129回アメリカ地質学会(米国シアトル )でも、メランジュと海洋プレート層序に関する2件の研究発表を行った。また、共著による本の執筆も行った。
2: おおむね順調に進展している
研究そのものは、順調に推移している。予想外であったのは、砂岩中の砕屑性ジルコンのU-Pb年代測定において、三畳紀の付加体の砂岩からあまり有効な年代を示すジルコンが得られなかったことである。
三畳紀の付加体について、さらに砂岩の採取を行い、砕屑性ジルコンのU-Pb年代測定を再挑戦する。この時代の付加体は、南中国と北中国の衝突時期にあたり、非常に意義が高い。白亜紀最前期の付加体については、和歌山に続いて、大分県でも、付加体の終末期の活動について、検討を実施する。さらに砂岩の岩石学的検討も推進する。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)
Journal of Asian Earth Sciences
巻: 138 ページ: 72-91
https://doi.org/10.1016/j.jseaes.2017.02.005
Gondwana Research
巻: 44 ページ: 54-66
http://dx.doi.org/10.1016/j.gr.2016.12.003