研究課題/領域番号 |
16K05579
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
脇田 浩二 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (80358366)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 付加体 / 砕屑性ジルコン / U-Pb年代 / 後背地 / 石灰礁 / メランジュ / 海台 / 火成活動 |
研究実績の概要 |
本年度は,これまでの研究成果に加え,常森層群の調査研究を加え,京都地域における三畳紀付加体本山寺コンプレックスの再調査,佐伯地域における前期白亜紀付加体と後期白亜紀付加体の調査を実施した.また併せて,佐伯地域における中-後期ジュラ紀付加体についても調査研究を進めた.また,アメリカ地質学会や連合大会などで研究発表を行った.さらに,これまでの研究成果を論文にまとめ,投稿し,3つの国際誌に論文が受理・掲載された.研究の結果分かったことは,日本の付加体形成の原因のもっとも重要なポイントは,後背地における火成作用の活動度であることである.火成活動が活発であれば,多くの火成物が供給され,またマグマの形成により後背地が隆起し,多くの砕屑物が河川を通じて,海溝に供給され,付加体形成を促進させる.一方,火成作用が不活発であれば,海溝への砕屑物の供給は減り,構造浸食により既存の付加体などが削剥されて,付加体のギャップが生じる.つまり,付加体の消長は,後背地の火成作用に依存し,それによって,付加体が複数の地帯に分かれて分布するようになったのである.このことは,本研究の砕屑性ジルコンの研究と,同時期に行われた日本各地の研究を総合することではじめて可能になった.別の論文では,付加体形成において,海底火山上に形成された石灰礁が,プレートとともに,マントルまで沈み込まず,海溝で付加される原因として,海台など浮力のある地質体の沈み込みと付加が大きな役割を果たしたことを明らかにした.また,付加した石灰礁に伴っている混在相は,破断変形が進んでおらず,付加が停止したか,付加体を覆う陸棚ないし前弧海盆堆積物である可能性も第3の論文で示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
数ヶ月の間に3つの論文が国際誌に受理された.このことは,予想外のペースで成果が現れたことを示している.
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は,最終年度なので,研究成果をさらに統合し,日本およびアジアの付加体形成の消長を,顕生代のテクトニクスの変遷とともに明らかにし,研究生活のまとめとなるような成果を公表したい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
採取した岩石試料が予定より少なく,使用薬品の量が少なくて済んだため. 2019年度は,最終年度なので,成果を公表するために,学会発表を積極的に行うため,旅費の一部に充当する予定である.
|