研究課題
本研究課題では北部伊豆小笠原弧大室ダシ海底火山の海底調査と周辺陸域の陸上テフラ解析から、海底火山の噴火活動史や噴火による周辺陸域への影響を評価することを目的とした。また陸上テフラに含まれる海産微化石を海底噴火の指標として用いることができるか、その有効性の検討も行った。最終年(平成30年)度は主に下記内容の研究を実施した:〔現地調査〕大室ダシ火山の未調査地域を補完するために、筑波大学下田臨海実験センターの調査船「つくばII」を用いた海底調査を10月に実施した。本調査ではこれまで未調査であった大室ダシ西部斜面と西方の小海丘群についてカメラ付ドレッジシステムを用いた海底観察・岩石試料採集に成功した。〔噴出物分析〕これまでに採集した大室ダシ火山の溶岩・軽石・火山ガラスについて蛍光X線分析装置・電子マイクロプローブアナライザー・レーザーアブレーションICPMSを用いた系統的な主要元素・微量元素組成分析を行った。また研究協力者(JAMSTEC Iona McIntosh研究員)と海底・陸上テフラの揮発性成分分析を行い、そこから推定される噴火水深の推移と海水準変動を合わせて解釈することで噴火年代を制約できる可能性を発見した。〔海産微化石分析〕陸上テフラに含まれる海産微化石のキャラクタライゼーションを進めたが、その産出頻度・種類に大きなばらつきがあり、現状では海底噴火の指標として用いることは難しい結果となった。研究計画の終了後も引き続き検討を進める。〔成果公表〕8月に国際火山学および地球内部化学協会海底火山活動部会(IAVCEI-CSV)の国際巡検を島根県島根半島で開催・参加した。国内外の海底火山研究者を集めた巡検・研究集会を4日間実施し、研究代表者も大室ダシ火山の研究成果について紹介した。得られた成果については、順次論文投稿・投稿準備を進めている。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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