研究課題
東~東南アジアでの地質調査を通じて,中古生代の大量絶滅とその後の回復から適応放散に関する現象の解明とテチス海東域における海生動物相の比較および陸生動物相の復元を行うことが研究のテーマである.調査の対象は,オルドビス系~三畳系で,大量絶滅が生じたと考えられる層準を挟む複数のセクションで,アンモナイトやコノドントなどの化石と岩相の特徴,安定炭素同位体比の変動パターンなどを用いて地質年代や堆積環境,海洋無酸素事変などの地質イベントを明らかにする事が本研究の最終目的である.今年度の研究で最も大きな成果を得たのは,上部デボン系のフラニアン・ファメニアン境界(F-F境界)で生じた2回の大量絶滅(下部・上部ケルワッサー事変:UKE・LKE)とその後の回復に伴う研究である.調査は北部ベトナム複数のセクション(シーファイセクションやマーピーレンセクションなど)と中部ベトナムのソムニャーセクションで実施した.これらの3地域では,コノドントと安定炭素同位体比の変動パターンからLKEとUKEを確認する事ができた.さらにマーピーレンセクションでは,海洋無酸素事変に伴う2枚の黒色泥岩がこれらのイベント層準で確認され,LKE層では還元的な堆積環境や森林火災の痕跡を示すバイオマーカーなどを確認する事ができた.一方でソムニャーセクションでは,顕微鏡下で多くの化石を確認する事ができ,下部ケルワッサー事変後に複数の軟体動物や棘皮動物,コケムシなどで大量絶滅後の生物相の回復が起こっていた可能性があることが分かったが,サンゴや層孔虫などの造礁生物では生物相が回復していなかった可能性が高いことが明かになった.なお,北部ベトナムでの調査結果については,3編の論文や報告として国際誌を含む当該分野の学術誌に掲載されている.
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 11件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件)
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