兵庫県の前期白亜紀篠山層群大山下層(1億1千万年前)のから発掘されたTambatitanis amicitiaeの肋骨の形状は、左右に強く張り出す胴体の形状を示唆するが、Tambatitanisよりも派生(より進化している)なグループであるティタノサウルス類(Titanosauria)は同様に強く側方に張り出す形状の胴体を持つといわれていた。.しかし、具体的にその証拠となる化石の記載はなかった。そこで前年度に南米アルゼンチンにおいてデータを収集したOverosaurus の体幹骨格の3D画像をより詳細に検討した。その結果、肋骨がほぼ完全に保存されているこの骨格では左右に強く張り出す胴体形状が再確認され、さらに,肋骨の形態はTambatitanisに類似しており、肋骨近位部の形態からある程度胴体形状を推測することが可能であることが示唆された。合衆国ユタ州および国内の恐竜展で収集したディプロドクス類の胴体骨格の3D画像を合わせて検討したところ上記の結論を支持するものとなった。 Tambatitanis amicitiaeの腸骨内部には気嚢から伸びる憩室に相当する空洞がある。南米産のTitanosauria の腸骨に同様の空洞があるとされるものが記載されているが、その外部への開口部とされているものは靭帯等の付着部であることが3D画像の検討により判明し。その結果、この特徴は他のティタノサウルス類に見られないことから、この類似性は共通の祖先由来というよりも気嚢を含めた内臓と骨格の位置関係に由来すると考えられる。
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