研究課題/領域番号 |
16K05603
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
小松 睦美 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 助教(特定有期雇用) (50609732)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 隕石 / 水質変成 / 小惑星 |
研究実績の概要 |
南極産CRコンドライト隕石について、鉱物学的研究による2次的な水質変成の評価を行った。CRコンドライトは、母天体形成後の熱変成を殆ど経験しておらず、最も始原的な隕石種であると閑雅らえられているが、発見数が極めて少なく、母天体の進化を解明するには至っていない。本研究では、南極産CRコンドライト9個について、岩石学的特徴及び有機物構造による2次変成の評価を行った。その結果、以下の成果が得られた。 (1)CRコンドライト隕石の水質変成の度合いは、個々の隕石により異なる。ラマン分析による有機物構造の特徴からは、母天体上での熱変成による長期間の加熱を受けた形跡は見られない。最も水質変成の進んだCRコンドライトでは、金属相・ケイ酸塩相において2次的鉱物への置換が顕著に見られるものの、他の水質変成を受けた隕石種(CMコンドライト)に比べると、その度合いは低く、母天体での水質変成はは大規模には生じなかったことを示唆している。 (2)一つの隕石中(Y-793261)には、Amoeboid olivine aggregate (AOA)中にScとZrに富むultra-refractory CAI(超難揮発性Ca-Al-に富む包有物)が発見された。AOA中でのultra-refractory相は過去の隕石に数例報告があるものの、詳細な記載はこれまでされておらず、本研究が初めての分析である。本包有物のホストのCRコンドライトは熱変成・水質変成の度合いが極めて小さいため、ultra-refractory相は、原始太陽系星雲での凝縮過程を保存していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進展している。今年度の結果は、Symposium on Antarctic Meteorites(東京,12月)、The 48th Lunar and Planetary Science Conference (USA, 3月)において発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より詳細な鉱物学的研究を行うことで、CRコンドライト隕石の母天体の水質変成の状況を考察する。同時に、隕石から得られた分光スペクトルの結果と、始原隕石の鉱物学的特徴を組み合わせることで、始原的な小惑星の進化について議論を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中での追加採用となったため、予算の使用計画が申請時から変更が生じたため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分と合算により、真空加熱型拡散反射装置の購入を検討中。
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