研究課題/領域番号 |
16K05615
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮崎 一博 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究副部門長(兼務 研究グループ長) (30358121)
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研究分担者 |
森 康 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (20359475)
重野 未来 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 受託研究生 (90749558)
西山 忠男 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (10156127)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ジルコン / 変成作用 / 成長動力学 |
研究実績の概要 |
西彼杵半島から採取した泥質片岩3試料中のジルコンU-Pb年代測定,フェンジャイトK-Ar年代測定,ジルコンのCL(カソードルミネッセンス)とBES(二次反射電子像)を用いた組織解析,EPMA及びエックス線顕微鏡による岩石組織観察,顕微ラマンによる炭質物の石墨化度による変成温度の推定を行った.分離したジルコンにはCL及びBESで明瞭に識別できる変成リムが生じていることが明らかになった.ラマン分光により変成リムの微細包有物の同定を行い,石墨が包有物として存在することを確認し,石墨化度から変成温度の見積もりを行った.これによりジルコン変成リムの成長温度が450℃前後がでることが分かった.ジルコン変成リムの成長量をCL及びBESから計測し,ジルコン粒径と変成リム成長量の相関からジルコンの成長動力学が界面律速型であることを明らかにした.また,変成鉱物の成長溶解モデルとジルコン変成リム成長量,ジルコンU-Pb年代,及びフェンジャイトK-Ar年代よりジルコンの成長時間を10-30 Myrと見積もった.分析を行った3試料は西彼杵半島に分布する変成岩の構造的上位・中位・下位から採取された試料で,上位の変成岩ほど原岩堆積年代及び変成作用の開始時期が古く,変成継続時間が長いことが明らかになった.さらに,西彼杵半島から泥質片岩66試料を採取し,そのうち38試料の薄片顕微鏡観察を行い,うち22試料についてラマン分析を行った.その結果,変成温度として440-550℃の温度を推定した.これにより,研究課題の地質学的背景となる地域の変成温度差を明らかにしつつある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で予定していた西彼杵半島南部で採取した試料を用いて,変成ジルコンリムの成長動力学,成長継続時間の推定を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに,西彼杵半島北部ので採取した試料を使い,変成岩組織解析と年代測定を行い,成長動力学と成長時間の推定行う.また,追加の野外調査を行い,ラマン分析の結果と既存の地質構造データの関係を考察する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
熊本地震のため,予定してた熊本大学でのラマン測定の回数が減ったため,さらに,年度内契約で納品が次年度になる外注分析があったため.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度予定していた熊本大学でのラマン分光測定を今年度に行う.また,昨年度契約を行った外注分析が今年度7月までに納品される予定.
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