研究課題/領域番号 |
16K05624
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
西村 周作 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 特定課題推進員 (70622348)
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研究分担者 |
小嵐 淳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (30421697)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 炭素貯留 / 土壌有機物 / 有機-無機複合体 |
研究実績の概要 |
日本に広く分布する黒ボク土では、腐植物質がアルミニウムイオン(Al3+)やアロフェンと複合体を形成することで分解に対して安定な状態となり、土壌の炭素貯留に寄与していると考えられている。本研究では、黒ボク土の炭素貯留機能についての科学的根拠を示すことを目的とした。平成28年度は、腐植物質とAl3+との結合についての定量を行った。実験には、標準腐植物質・有機酸とAl3+の結合する量について,化学組成などか明確な標準腐植物質(段戸フミン酸とフルボ酸(D-HAとD-FA)および猪之頭フミン酸とフルボ酸(I-HAとI-FA))・結合部位数の異なる有機酸(イソフタル酸(結合部位:2点)、ピロガロール(結合部位:3点)および没食子酸(結合部位:4点))とAl3+試料を用い、比色法により定量した。得られた結果として、有機酸(1ppm)とAl3+(1~10ppm)の結合割合は、イソフタル酸では約17%、ピロガロールでは約24~32%、没食子酸では約16~24%であり、すべての試料においてAl3+添加量の増加に伴って増加した。一方、標準腐植物質とAl3+(0.1~10ppm)の結合割合は、D-HAでは約8~23%、D-FAでは約2~87%、I-HAでは約7~34%、I-FAでは約6~18%であった。しかしながら、標準腐植物質とAl3+との結合割合は、Al3+添加量の増減に関係がなく、有機酸と異なる傾向がみられた。これは、標準腐植物質が有機酸に比べ、構造が複雑であるため結合に要する時間が有機酸と異なることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度より職場が変わり、新たな分野の研究に携われことになった。この移動に伴い、 本研究の作業環境の設定等に時間を要し、当初予定していた計画の半分にも満たない作業しか実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、本年度は標準腐植物質・有機酸と無機物の複合体として、鉄イオンやカオリナイトの結合について行う予定であったが、アルミニウムイオンやアロフェンとの結合について、作業途中であるのと同時に概要に記載した検討問題が生じている。従って、本年度は昨年度の研究を継続するとともに問題の検討を優先的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、1)当初購入を予定していた機器(分光光度計)が、現職場には設置してあり、利用可能であったので、購入予算を消耗品購入費にした、2)研究開始の遅れにより、消耗品を年度内に追加購入するに至らなかった、ことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、昨年度の研究を継続しているので、繰り越した使用予算をこの継続研究に充てがう予定である。
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