永久磁石を複数個用いて非一様磁場を微粒子プラズマに印加し、そのような場における微粒子の挙動を明らかにする目的で研究を行った。 本研究によって、以下のようなことを明らかにすることができた。一つは、このような実験においては、境界における閉じ込め電場が非常に重要であることである。単一の磁石の場合、円形の閉じ込め電極の中心に永久磁石を置けば微粒子の分布は軸対称となるが、複数の磁石を用いる場合には、閉じ込め電極を工夫するなどしたが対称な分布を形成することが困難であった。 また、磁石の極性を平行にした場合と反平行にした場合について、以下のことが明らかとなった。すなわち、平行の場合には、予想された通り二つの磁石が近づくにつれて微粒子は磁石のサイズが大きくなった単一の磁石の場合と同様の振舞を示した。一方、反平行の場合には、二つの磁石に挟まれた領域に存在する微粒は磁石の中心を結ぶ直線に対して垂線方向に加速された。その加速は非常に大きいため通常の閉じ込め電場では閉じ込めきれず、加速された微粒子は実験領域外へ飛び去ってしまった。この結果は、今後の微粒子プラズマの実験的研究に微粒子の加速機構として有用である。 さらに、本研究の副次的な成果として、比較的容易に実験領域中の微粒子の帯電量を計測する手法を見出した。この手法の特徴として、一つ目は、個々の帯電量を評価するのではなく実験領域中の微粒子の平均帯電量を求めるものであること。二つ目は微粒子プラズマ振動を励起するための励起グリッドと励起された振動を計測するためのイオン飽和電流を計測するプローブがあればよく、システムとして非常に簡単であることである。微粒子プラズマの基礎研究で用いられることの多いRFプラズマ中ではイオンと中性粒子の衝突効果が無視できないこと、中性ガス圧が低い直流放電プラズマではイオンと中性粒子の衝突効果を無視できることが明らかとなった。
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