目標であった2P3/2および2P1/2状態のKr3+イオンの放射寿命測定結果を論文として発表した。イオンビームトラップを用いた本測定方法によって、過去の測定データよりも精度の高い結果を得ることができた。Kr3+イオンの2P3/2状態の放射寿命は、これまで発表されていない初めてのデータである。得られた測定結果をこれまでに発表された理論計算値と比較することで、両者がよく一致することがわかった。本課題で実施された一連の研究によって、イオンビームトラップを用いた準安定状態イオンの放射寿命測定法は、放射寿命の高精度測定に非常に有用であることを示すことができた。 さらに本最終年度では、本測定法を用いて分子イオンの放射寿命測定が可能かどうかを探るために、イオン源の軽微な改造とテスト測定を行った。
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