研究課題/領域番号 |
16K05637
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
中村 龍史 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (40318796)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ガンマ線 / 陽電子 / 超高強度レーザー / 放射反作用 / 対生成 / 量子ビーム |
研究実績の概要 |
原子核物理および量子電磁気学過程が関与するレーザー生成プラズマ現象の解析を可能にするプラズマシミュレーションコードの開発を行っている。従来のレーザー・プラズマ相互作用のシミュレーションでは、プラズマの集団運動および荷電粒子と電磁場との相互作用を精度よく記述することのできる粒子シミュレーション(PIC)コードが広く使われている。本研究では、従来のPICコードにおいて高エネルギー光子を超粒子として導入し、その輸送過程をモンテカルロ手法により解析することを目指している。 本年度は、すでにPICコードに取り込まれいている電子・陽電子対生成過程に着目し研究を進め、超高強度レーザー生成プラズマからユニークな陽電子線が発生しうることを明らかにした。陽電子の発生過程は以下のように説明される。超高強度レーザーを固体薄膜に照射することで照射面に高エネルギー電子が発生し、これらとレーザー場が再度相互作用する際に放射反作用効果を介してガンマ線領域の光子が発生する。このレーザー駆動ガンマ線の固体内部での輸送過程において、ベーテ・ハイトラー過程、すなわちガンマ線と原子核電界と相互作用により、電子・陽電子の対生成が起こる。発生した陽電子は、レーザー照射面にて発生した高エネルギー電子が固体裏面から外部へ放出されることで裏面に誘起される静電界および静磁界により、それらの加速および遮蔽が起こり、エネルギー空間での選別がなされる。この結果、準単色性・高指向性を持ちかつ数百MeVを超える高エネルギーの陽電子線が発生することが明らかとなった。これらの準単色陽電子線の発生過程および特性の詳細を解明することで、新しいレーザー駆動陽電子線源の提案を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザー駆動ガンマ線を利用した新しい陽電子線源の提案を行った。超高強度レーザー場と固体との相互作用により発生する陽電子線が準単色性をもつこと着目し、準単色性がレーザーおよびターゲットパラメータを変えることでどのように制御できるかを明らかにした。これらの研究成果をもとに当初の計画通り研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降も計画通り進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国内出張1回分が都合により不参加となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の出張旅費として使用する。
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