研究課題
金属導波路と微量液体流路をカップルさせたテラヘルツ分光法の開発にとって、金属テーパー導波路によって集束したテラヘルツ波の効率を上げることは重要である。2016年度までは、これまでの経験をもとに作成していた金属導波路の形状を検討し、2017年度では金属導波路の形状の検討をFDTDシミュレーションによって研究を進めることで形状の検討を時間的に短縮させた。しかし、実際の金属導波路と直接比較できるようなサイズに対して、FDTDシミュレーションでは空間サイズを大きくすると計算容量が飛躍的に増加することとなり、十分な金属導波路形状に関して調べることが困難となった。そのため、空間サイズを大きくしても計算容量を比較的小さくすることが可能である有限要素法と用いたシミュレーション環境を整備し、0.1テラヘルツ~3テラヘルツにおける金属導波路の透過特性や、誘電体スペーサーの誘電等導波路としての作用を調べることが可能となった。その成果として、金属平板間に挟むテフロンスペーサーを金属テーパーに1ミリ程度はみ出させ、テフロンスペーサーを誘電体導波路として作用させることにより、金属導波路を用いたテラヘルツ分光のS/N比が50%上昇することが示唆された。また、この方法は、微量液体流路をカップルさせた金属導波路でも適用可能であることが示唆された。また、金属導波路で挟んだ微量液体流路におけるテラヘルツ透過特性、流路に入れた液体の誘電率との関係について予備データを得ることができた。
3: やや遅れている
信号雑音比をより改善した測定を行うのに、テラヘルツ導波路に透過するテラヘルツ波および遠赤外光の効率改善の必要性が出てきたため、導波路構造の形状をシミュレーションにより調べる必要性が生じ、計画の修正と時間を要することとなった。また、学内業務の増加によって研究に従事する時間が減り、研究計画に遅延が生じた。
回折限界によって非常に多量な溶液試料を必要としていたテラヘルツ時間領域分光測定に対して、有限要素法によるシミュレーションによって示唆された誘電体導波路としての作用の最適化を検討する。その検討から得られた結果をもとに、マイクロ流路をカップリングさせたテラヘルツ分光を研究を進める。
信号雑音比をより改善した測定を行うのに、テラヘルツ導波路に透過するテラヘルツ波および遠赤外光の効率改善の必要性が出てきたため、導波路構造の形状をシミュレーションにより調べる必要性が生じ、計画の修正と時間を要することとなった。また、学内業務の増加によって研究に従事する時間が減り、研究計画に遅延が生じた。今年度は、シミュレーションの計算効率を上げるため1ライセンスを追加導入し、シミュレーション結果から得られた構造の金属導波路を作成するための費用として使用する。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Journal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
巻: 39 ページ: 514~520
10.1007/s10762-018-0487-1