研究課題
金属平板導波路にHPLC用PEEKチューブを挟んだ系に対して、テラヘルツ波透過特性を明らかにした。この構造は、微量液体流路をカップルさせたテラヘルツ分光法の開発を目指したものである。0.1テラヘルツ~2テラヘルツにおいて、テラヘルツ波が透過することを確認した。チューブのみを透過した場合に、特徴的なピークが観測された。このピークの周波数は、チューブサイズに対してスケーリングされることが明らかになり、金属平行平板に円形チューブを配置するという幾何学構造に起因するものであることが示唆された。チューブに液体を流すことで、吸収バックグラウンドの上昇、および、ピークのシフトが観測され、微量液体流路をカップルさせたテラヘルツ分光法の開発に一歩前進した。実際の金属導波路と直接比較できるようなサイズに対して、2018年度まで行ってきたFDTDシミュレーションでは空間サイズを大きくすると計算容量が飛躍的に増加することとなり、十分な金属導波路形状に関して調べることが困難となり、空間サイズを大きくしても計算容量を比較的小さくすることが可能である有限要素法と用いたシミュレーション環境を整備した結果、実験で得られた吸収-ピークに対して、有限要素法を用いた時間領域電磁波解析を行うことができた。その結果、吸収ピークが共鳴に由来していることを明らかにし、チューブに流す液体の誘電率依存性に関しても新たな知見を得ることができた。
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Journal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
巻: 40 ページ: 998-1009
doi: https://doi.org/10.1007/s10762-019-00626-9