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2016 年度 実施状況報告書

磁場による結晶核制御

研究課題

研究課題/領域番号 16K05651
研究機関信州大学

研究代表者

勝木 明夫  信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (70283223)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード磁場効果 / 磁気配向 / 固液界面
研究実績の概要

有機分子,特に芳香環をもつ分子は比較的大きな磁化率異方性を持つため,微小サイズの段階(微結晶段階については不明)から,磁場による配向の可能性が高い.磁気配向は結晶核から,また途中の中間状態での結晶成長に影響を与えると予想される.また,配向以外の磁場効果,固体と液体の間の境界面の磁化率勾配に対する磁場効果,対流への磁場効果が期待できる.そこで,本研究では,芳香環をもつ有機分子として,ピレン誘導体を用いた.これは,置換基によって明確な色を呈するものがあること,蛍光を発するもの(特に蛍光顕微鏡観察で細胞内の特定部位につくプローブとして,多数開発されている),また,多形を示す結晶も報告されていることから,適切であると判断した.できるだけ単純な系である方が発展性があるため,置換基として,アルキル基,アミノ基,ヒドロキシ基,カルボン酸等の比較的単純なものを選び,結晶条件等を検討した.現在のところ,アミノピレン誘導体またはヒドロキシピレン誘導体が比較的結晶成長観測に適していることがわかった.
磁場装置の方は,電磁石固定用の台車,電源用の台を作成し,据え付けているところである.現存の電源が,まだ使えない状況であり,再設定が必要である.これについては次年度に購入する新しい電源で使用できるよう,準備をしているところである.
今回,理論面で,磁気配向と深い関係があるエントロピーの結果を図書として発行することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初,金属樹の結晶成長について検討していたが,金属イオンへのローレンツ力による磁場効果が大きいため,イオン種ではない有機化合物に展開している.有機結晶の作成条件については,ピレン誘導体を中心に実験がある程度進行しているが,磁石の設定,および観測システムの組立てが,耐震工事後の再レイアウト設定に時間がとられていることもあり,想定よりも遅れている.これについては,次年度の購入予定の電源と組み合わせることで検討している.

今後の研究の推進方策

有機結晶成長への磁場効果,特に微小スケールへの影響を観測するために,電磁石,電源,および観測システムの構築を進める.観測試料として,電荷移動錯体等の磁気異方性が高い結晶が成長する条件の検討,呈色している試料あるいは,蛍光性の試料を用いることで,現在検討を進めている.また,無機結晶の成長条件を再検討する.特に,形状が比較的異方的な結晶ができる条件を探索し,形状異方性による磁場効果の可能性についても検討する.

次年度使用額が生じた理由

当初,銀化合物等の無機化合物も含めて実験を行う予定であったが,実験条件の設定段階で,有機化合物のみを行うことになったため,試薬代が当初の予定よりも少なくなったことによる.

次年度使用額の使用計画

次年度請求分とあわせて,無機化合物に再度実験条件を確認するための試薬代および実験装置の改良にあてる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Fluorescence Enhancement of a Dicyanostilbene Derivative Film Casted from an Alcoholic Solution Triggered by UV light Irradiation2016

    • 著者名/発表者名
      Jun-ichi Fujimori, Akio Katsuki, Fuyuki Ito
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 45 ページ: 421-423

    • DOI

      10.1246/cl.151195

    • 査読あり
  • [図書] 基礎物理化学 能動的学修へのアプローチ2017

    • 著者名/発表者名
      勝木明夫,伊藤冬樹,手老省三
    • 総ページ数
      240 (66ページ)
    • 出版者
      三共出版

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公開日: 2018-01-16  

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