研究課題/領域番号 |
16K05662
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
三枝 洋之 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 教授 (90162180)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レーザー脱離 / 中赤外分光 / 核酸塩基対 |
研究実績の概要 |
本研究では、核酸塩基試料を非破壊的に気化するためパルスレーザー脱離法を用いている。この目的のために従来から用いてきたYAGレーザーは比較的大型のため、空間的制約から試料から数メートル離れた位置にしか設置できず、真空チャンバー内の試料に正確に照射することが困難であった。これはレーザー媒体の温度が時間とともに変動し、レーザー光の空間的位置が徐々に変化するため、数メートル先にある試料の照射位置がずれてしまうことが原因であった。このため分光測定を度々中断し、照射位置を合わせなおすことが必要であった。そこで今年度、小型のYAGレーザーを導入し試料から約30cm離れた場所に設置することが可能となり、照射位置の調整が必要なくなった。その結果、測定の効率が飛躍的に改善され長時間のスペクトル測定ができるようになった。この改善により核酸塩基対の中赤外スペクトルを感度良く観測することが可能となった。 グアニン-グアニン、グアニン-シトシン塩基対について得られた結果は、インドで開催されたSpectroscopy and Dynamics of Molecules and Clusters (SDMC2018)において招待講演として公表した(Dooars,India, 2018年2月13-19日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
28年度は研究室移転のため、研究の進捗に大きな遅れが生じた。しかし29年度は実験室の整備もほぼ終了し新たな研究体制をスタートすることができた。特に脱離に用いているレーザーを小型し、試料から約30cm離れた場所に設置することができるようになり、測定中に照射位置の調整が必要なくなった。その結果、測定の効率が飛躍的に改善され長時間のスペクトル測定が可能となった。この改善により核酸塩基対の中赤外スペクトルを感度良く観測できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
29年度において研究を遂行する上での障害が殆どクリアされたため、最終年度は研究題目である核酸塩基対の立体構造を直接反映するような中赤外振動バンドの探索に専念する。特にグアニンやシトシンなどにおける互変異性化やアデノシンのスタッキング塩基対生成を容易に追跡できるマーカーバンドを見出すことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国旅費の経費が予定より少なかったため残高が生じた。
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