高精度電子カップリング計算法であるTDFI法の拡張を行い、振電カップリングの計算を可能にした。また、本手法をザントロドプシンの吸収・円偏光二色性(CD)スペクトルの計算へ適用した。TDFI計算の結果、本系の電子カップリングにはクーロン相互作用が大きく寄与し、交換相互作用の寄与は非常に小さなものであった。したがって、この系での励起エネルギー移動はフェルスター機構が支配的であることが明らかとなった。 計算で求めたCDスペクトルは、実験のCDスペクトルの特徴を再現することに成功した。また、ザントロドプシンの負と正のコットン効果は振電カップリングの影響により出現することが明らかとなった。
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