我々は、銀、鉛および銅の基板の上に蒸着したメソジベンゾポルフィセン分子(mDBPc)を分子内分解能原子間力顕微鏡および走査型トンネル顕微鏡を用いて研究した。特に、上記表面に吸着したmDBPc分子に予測されるシスとトランス配置を明らかにし、その互変異性化反応に対する局所環境の影響を調べた。実験の結果、mDBPc分子の吸着エネルギーの複雑な様相が明らかになった。すなわち、一方の配置がもう一方に対して明らかに優勢なポテンシャル井戸を持っており、最も安定的な配置としてシスまたはトランス形を示す吸着位置は、分子内の不飽和窒素原子の相互作用を通じて、その基板の性質に依存していると考えられる。
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