研究課題/領域番号 |
16K05680
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
近藤 梓 東北大学, 理学研究科, 助教 (30645544)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 有機塩基触媒 / 不斉触媒反応 / 環化付加反応 / 複素環骨格構築 / 不斉合成 |
研究実績の概要 |
ブレンステッド塩基触媒による三員環化合物と不飽和化合物の高立体選択的な形式的[3+2]環化付加反応の開発を目的とし、新たに考案したブレンステッド塩基触媒による三員環化合物の環拡大の方法論による多置換五員複素環化合物の新たな立体選択的合成法の確立を目指し検討を行った。その結果、先行研究で見いだしたエポキシドとイミンの高ジアステレオ選択的な形式的[3+2]環化付加反応反応をエポキシドと他の不飽和化合物との反応へとその適用範囲を拡充できることを見いだした。まだ立体選択性の制御という観点からは問題が残っているもののさらに反応条件を精査することで改善が可能であると考えられる。その一方で、エポキシドとイミンの形式的[3+2]環化付加反応の不斉触媒反応への展開にも成功している。所属研究室で開発したキラルビス(グアニジノ)イミノホスホランを触媒として用いることで、第四級不斉中心を有するオキサゾリジンが高エナンチオ選択性で得られることを見いだした。本不斉触媒反応の進行には、高い立体制御能に加え、高い塩基性を有するブレンステッド塩基触媒を用いることが必須であり、キラルビス(グアニジノ)イミノホスホランの高い触媒機能を示す成果である。 さらに、本研究における[3+2]環化付加反応のコンセプトを広い意味で応用した光学活性イミダゾリジン-2-オンの合成法を見いだした。本研究の鍵中間体を他の方法論を用いて発生させて形式的[3+2]環化付加反応に利用することで、有機合成上有用なキラルビルディングブロックの簡便合成に成功した。本成果については既に論文で発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初初年度に予定していた、先行研究の適用範囲の拡充のみならず、不斉触媒反応への展開にも成功している。そして、既に非常に高いエナンチオ選択性を達成している。また、コンセプトの応用による他の触媒系の開拓にも成功し論文での発表も行っている。このように今後のさらなる展開が大いに期待できることから、「研究の進捗状況」として「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、本課題研究で提案している方法論の複素環化合物合成法としての有効性が明らかとなってきている。まず、現在までに見いだした不斉触媒反応の適用範囲をさらに拡充し、有機合成における有用性を示す。その一方で本方法論を応用した、さらに高難度な分子変換反応への展開を目指す。
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