研究実績の概要 |
これまでに、リン原子を2つ有する曲面化合物の合成を報告している(Chem. Sci. 2015, 6, 6373) 。この曲面化合物は、2つのリン原子の立体により、syn体とanti体が存在する。前年度はsyn体がanti体に比べて高い蛍光量子収率を示し、anti体は三重項への項間交差効率が高いことを明らかにした。 本年度は様々な曲面化合物の類縁体を合成した。これまでの化合物はリン原子2つがベンゼン環で架橋された構造をもつ。中心のベンゼンをナフタレンとした類縁体では、syn体とanti体が存在する他、syn体において鏡像異性体が存在する。ナフタレンを有する曲面化合物のsyn体は、ベンゼンを有する化合物に比べて長波長に蛍光を示した。ナフタレンを有する曲面化合物では、syn体とanti体における蛍光スペクトル、蛍光量子収率にほとんど違いが見られなかった。また、syn体の鏡像異性体についてはキラル構造を取ることから、円二色発光(CPL)が期待されたが、CPLシグナルが非常に弱く観測することはできなかった。
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