研究課題/領域番号 |
16K05687
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
矢島 知子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10302994)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 有機色素 / 可視光反応 / ラジカル反応 / 含フッ素化合物 |
研究実績の概要 |
有機色素を用いた可視光ペルフルオロアルキル化反応の開発を目的とする本研究では、主に4通りの反応について検討し、含フッ素化合物の合成を達成することを目標としている。研究初年度では、初年度に予定されていた2つに該当する内容について達成し、次年度に予定されていた1つの内容について着手した。 一つには、エオシンYを触媒とし、ヨウ化ペルフルオロアルキルをラジカル前駆体とする反応において、様々なアルケン、アルキンへのヨウ化-ペルフルオロアルキル化が速やかに進行することを明らかにした。また、その反応機構に関する研究を行い、有機触媒のサイクル、ラジカル反応においうてヨウ素が移動する機構について明らかにした。また、系中に塩基を添加することにより脱離が進行し、良好な収率でオレフィンが得られることも明らかとした。これは、形式上、置換型の反応生成物が得られることを明らかにしたといえる。さらに、次年度の予定であった臭化ペルフルオロアルキルを用いた反応についても着手した。この場合にはヨウ化ペルフルオロアルキルの場合と異なり、水素化ペルフルオロアルキル化が進行することを明らかにした。また、様々な末端アルケン、アルキンに対して本反応は有効であることを明らか年、この反応についても反応機構の検討を行い、ヨウ化ペルフルオロアルキルをラジカル前駆体とした反応との違いを明らかにした。今後、反応基質の拡大、一電子移動を伴う反応などの検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
有機色素を触媒とする、可視光ラジカルペルフルオロアルキル化の開発を目的とする本研究では、当初の研究計画では、研究初年度にはヨウ化ペルフルオロアルキルをラジカル前駆体とする反応について検討する計画となっていた。実際の進捗状況は、ヨウ化ペルフルオロアルキルについて、末端アルケン、アルキンへの反応を明らかにし、論文とした。さらに、次年度の計画である臭化ペルフルオロアルキルを用いた反応にも着手し、ヨウ化物を用いた場合とは異なる反応が進行する反応機構についての検討も行っている。このkとから、当初の計画より順調に研究開発が進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
エオシンYを有機色素とする末端アルケン、アルキンの反応においてはヨウ化ペルフルオロアルキルを用いた場合にはヨウ化-ペルフルオロアルキルが進行し、臭化物を用いた場合には水素化ペルフルオロアルキル化反応が進行すること、その反応機構の違いを明らかにした。今後も、一電子還元を伴う反応など、研究計画に記載した反応の開発を行う。また、基質としては末端オレフィンに限られていることから、その基質拡大についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が生じているのは主に物品費であるが、これは研究を行っていく過程で、使用する試薬、溶媒、器具が当初計画していたものよりも一般的で安価なもので済み、費用が削減された。特に、併用すると想定していた水銀ランプの使用時間が短くて済んだため、今年度は交換の必要が生じなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の経過の中で、低温での反応や、高価な試薬の必要性が生じている。また、今年度は水銀ランプの交換が必要である可能性が高いため、物品費として充当していきたい。
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