有機色素を用いた可視光ペルフルオロアルキル化反応の開発を目的とする本研究では、主に4通りの反応について検討し、含フッ素化合物の合成を達成することを目標としている。研究2年度までに、このうちのヨウ化ペルフルオロアルキル化反応及び、脱離を伴う反応の2つについてほぼ達成し、臭化ペルフルオロアルキルに関する反応の検討にも着手していた。 最終年度の今年度は、これらの結果を総合的にまとめて、エオシンYを光レドックス触媒とする反応において、反応条件を適宜選択することにより、ヨウ化ペルフルオロアルキル、臭化ペルフルオロアルキル双方をラジカル前駆体として使用可能であることを見出した。また、反応条件により触媒のレドックスサイクルを酸化的、還元的サイクルと切り替えることができ、それぞれの反応条件において得意な反応基質が異なることを明らかにした。このことにより、申請段階では予期しなかった、電子不足なオレフィンへの元素移動型ラジカル付加反応も可能であることを見出すことができた。すなわち、様々な基質に対してのヨウ化‐ペルフルオロアルキル化反応、臭化‐ペルフルオロアルキル化反応、水素化-ペルフルオロアルキル化反応、ヒドロキシーペルフルオロアルキル化反応を可能とし、これまで入手が困難であった多くの新規含フッ素化合物の合成を可能とした。用いる臭化物、ヨウ化物の検討も行い、様々なペルフルオロアルキル基に対して有効であることも確認している。また、反応機構の検討を行い、反応機構の検証を行った。さらに、この研究の一環として、エナミンを経由するペルフルオロアルキル化反応も可視光照射により進行することも明らかとしている。
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