研究課題
前年度に引き続き、新しいスイッチ形式を持つ分子の基質となるロタキサン合成を検討し、合成を達成したロタキサンを用いて、刺激に対するスイッチングを実施した。ロタキサン合成の鍵となる環部の合成は、まず、第3級テトラアミド環を基軸に、軸認識部となるアミド間のスペーサーが異なる複数のアミド環について、4種を新たに合成した。これらに対し、軸となるモノアンモニウムイオン、ビスアンモニウムイオン、グアニジニウムイオン、ジアミド、アミノ酸誘導体等を用い、[2]ロタキサン合成を検討した。その結果、1種の環がモノアンモニウムイオンと、また特定のビスアンモニウムイオンとそれぞれ擬ロタキサン形成することを見出した。得られた擬ロタキサンの末端封鎖にオキシムエーテル形成反応を活用することで、新規ロタキサン2種の合成に成功した。一方、他のアミド環に関しては、フェーストゥーフェース錯体形成が優先された。スペーサーが長いアミド環を用い、[3]擬ロタキサン形成を検討したものの、現在までそれらの確認は出来ていない。合成した[2]ロタキサンを用いて、塩基と酸に対するスイッチングを行った。モノアンモニウムイオンロタキサンに塩基を加えたところ、アンモニウムの脱プロトン化に伴い環部のアミドの固定化が解消され、アミド部の回転が確認できた。さらに酸を加えたところ、アミンのプロトン化が進行し、元の状態のロタキサンへ戻ることが確認でき、その可逆的なスイッチングを達成した。ビスアンモニウムイオンロタキサンに関しては、加える塩基の当量に応じ、段階的に脱プロトン化が進行し、それらに伴うアミド部の回転制御にも成功した。一方、酸を加えた場合には、酸の強さと当量に応じ段階的にプロトン化することを見出した。
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