研究成果の概要 |
『光化学反応によりラジカルを発生するπ電子系化合物の機械的応答』に位置づけられる本申請課題において, 1) 芳香族イミドの側鎖アルキルアミノ部位の炭素鎖長依存と分子充填の効果, 2) 分子配列の制御による巨視的応答性の制御, 3) 巨視的応答性の評価方法の開発を行なった. 側鎖の伸長により, 高次構造体の構造変調の明確な規則性はないものの緩やかな充填傾向にあるということが分かった. 結晶の構造相転移における構造と光応答について精査した. 分子配列の変換により巨視的な光応答性の制御が可能であることが分かった. この巨視的な光応答はラジカルアニオンの緩和と関連付けられることを明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光エネルギーを与えることで機械的な仕事をする結晶・物質の開発を行なった. 結晶の構成要素は同じであっても, 結晶内での分子配列を変えることで, 光応答性を制御できることが明らかとなった. 光照射前後の化学種間の緩和過程は機械的応答を評価するのに重要な因子であることが分かり, 我々の機械応答に対する評価法が, 結晶の巨視的応答と分子レベルのシグナルとの結びつけを理解する助けになると考えられる.
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