研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では、18π電子以上の巨大なπ共役電子構造と金属d電子軌道を複合化させることで誘起される特異な光・磁気特性の発現を設計原理として、環骨格を構造修飾した拡張ポルフィリン複核金属錯体の創製とその機能開拓を行った。環状π共役配位子の構成π電子数(4n+2π~4nπ:n>6)の自在制御と多様な金属イオン種の配位に基づく設計により、強近赤外光吸収・発光する分子、πラジカルスピンと金属スピンから成るヘテロスピン磁気分子、キラルセンシング材料の開発につながる重要な知見が得られた。
物理有機化学
有機色素の応用研究は、計算化学と合成方法論の発展により、色調等を定量的に予測して自在に設計合成が可能となってきており、特に目に見えない近赤外光領域に応答する色素分子は、生体組織内での光の透過性等の観点から、特定組織の観察や光治療といった医療応用を志向した開発が注目を集めている。本研究において推進した分子群は、金属イオンを組み合わせた希有な分子骨格を利用した近赤外光応答能を有し、構造の最適化により更なる応用展開が可能である。