研究実績の概要 |
1位に配向基として配向基としてN,N-ジイソプロピルカルバモイル基を有する,ジエン鉄錯体に対してトリエチルホスファイトの存在下で,リチウムジイソプロピルアミドを作用させ-78℃で撹拌後反応を停止すると,トリエチルホスファイトが3個導入されたジアシル鉄錯体が生成する。一方,トリエチルホスファイトに代えてトリイソプロピルホスファイト存在下,同様の反応を行うと,トリエチルホスファイトを用いた場合と異なり,ジアシル鉄錯体が生成しないことがわかった。これは,トリイソプロピルホスファイトのかさ高さのために,活性な反応中間体に対して,トリイソプロピルホスファイトが配位できず,ジアシル鉄錯体が生成することなく,反応が停止してしまったものと考えた。 そこで,同様な反応の反応停止直前にアルキンを添加したところ,アルキンが反応し,パラキノンが得られる新規な反応を見出した。得られたパラキノンについては,単結晶X線構造解析によりその構造の確認を行った。 反応を詳細に検討したところ,,反応系中ではヒドロキノンが生成し,単離中の空気酸化によって,パラキノンが得られていることが明らかとなった。 このことは,用いるリン配位子が嵩高くなることによって,中間に生成する配位不飽和の鉄錯体に対するさらなるリン配位子の配位が抑えられることによって,アルキンが反応できるようになったことを意味すると共に,既に見出しているジアシル鉄錯体が生成する反応の反応機構を解明する重要な知見を得た。
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