研究実績の概要 |
1. 合成ルートの開発 本研究ではupper rimのフェノール環に種々の官能基を導入したヘキサホモオキサカリックス[3]アレーンの簡便な合成ルートの開発がKey Stepとなる。そこで、本年度ではp-ヒドロキシ安息香酸エチルからの合成法を検討し、p-エトキシカルボニルホモオキサカリックス[3]アレーンが簡便な操作で2段階での合成ルートの開発に成功した。さらに、エトキシカルボニル基-COOEtを-COOH, -CH2OH, -CHO, NH2(CON3のクルチウス転位を用いて)等への変換を行った。 2. フェノール性水酸基への蛍光性官能基の導入 上述の成果を基にして、ヘキサホモオキサカリックス[3]アレーンのフェノール性水酸基へのピレン、アントラセン等の蛍光性官能基の導入を行った。すなわち、本申請者がすでに確立しているフェノール性水酸基へのアミノエチル基の導入、ついでピレン-1-イソシアニドおよび9-アンスリルイソシアニドとの反応によって容易に行うことが明らかとなった。 3. アルキルアンモニウムイオンに対する包接機能に関する研究 合成した一連のアミン蛍光性センサーのアルキルアンモニウムイオンを用いてセンサーとしての評価を行う。さらに、lower rim上のウレア部分とアニオン(ハライドイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等)との錯体形成に伴うアロステリック効果の発現についても核磁気共鳴分光法を用いる滴定実験および蛍光スペクトル法により検討した。アニオン認識部を導入したヘテロダイトピックヘキサホモトリオキサカリックス[3]アレーンを基盤とするピコレベル(10-12 M)まで検出可能なアルキルアンモニウムイオン蛍光性化学センサーの開発に成功した。
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