研究課題/領域番号 |
16K05703
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
北村 二雄 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00153122)
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研究分担者 |
小山田 重蔵 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60525393)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フッ素化反応 / 触媒反応 / 超原子価ヨウ素 / 有機フッ素化合物 |
研究実績の概要 |
従来のフッ素化反応ではフッ素ガスがフッ素源として必須となっている。我々は、危険なフッ素ガスに代わり、より安全で取り扱いやすいフッ化水素酸類をフッ素源に用い、超原子価ヨウ素をメディエーターとする安全で簡便なフッ素化反応を開発し、最終的には、ヨードベンゼン類を触媒とするフッ素化反応を実現することを目的としている。これにより、フッ素ガスを原料として利用する従来のフッ素化反応の原料転換を目指し、安心で安全なフッ素化合物の合成法を確立する。 (1)1,3-ジカルボニル化合物のフッ素化反応の開発:今年度は、触媒反応の効率を高めるための職場条件の検討を行った。反応後副生するヨードシルベンゼンを再酸化することによりヨードベンゼンを触媒とする触媒的フッ素化反応を我々は明らかにしたが、実用的に利用できる、さらに高効率の触媒反応を開発した。従来、20 mol%のヨードアレーンを触媒として用いていたが、種々の条件検討により、5 mol%の触媒量で良好な結果が得られること明らかにした。 (2)オレフィン類のフッ素化反応の開発:今年度は、芳香族オレフィンに加え、ホモアリルアミン類のフッ素化反応を検討した。量論量のヨードベンゼンジアセタートとフッ化水素により、3-フルオロピロリジン誘導体が得られることを明らかにした。また、本反応は触媒量のヨードトルエンを用いても進行し、触媒的アミノフッ素化反応を見出した。 (3)アセチレン類のフッ素化反応の開発:次年度予定の研究計画であるが、アルキン類のフッ素化反応を同様の反応条件で検討したところ、β-フルオロビニルヨードニウム塩が得られることが明らかになった。今後、簡便な合成法を明らかにしていく予定である。 今後、種々の基質へ応用し、触媒的フッ素化反応の有用性を明らかにしていく予定である。また、反応基質の拡大のため、新規フッ素化剤の開発も今後検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた、「(1)1,3-ジカルボニル化合物のフッ素化反応の開発」および「(2)オレフィン類のフッ素化反応の開発」について、成果を上げることができた。まだ、ジャーナル上での成果報告までは行っていないが、学会発表により成果報告を行った。さらに、次年度の計画である、「(3)アセチレン類のフッ素化反応の開発」についても成果を上げることができた。 以上の状況より、当初の予定以上の成果が得られていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、「(1)1,3-ジカルボニル化合物のフッ素化反応の開発」、「(2)オレフィン類のフッ素化反応の開発」、及び「(3)アセチレン類のフッ素化反応の開発」について検討していく。 特に、超原子価ヨウ素化合物の合成および取り扱いをできるだけ簡便にするための方策を考案し、フッ素化反応の拡大に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、研究計画を着実に遂行するため、夏季及び冬季休暇中に集中的に実験を実施し、研究成果を上げることを予定していたが、順調に研究計画を遂行できたため、研究補助のための謝金を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、予定通りに使用する。加えて、成果発表のための旅費として使用する。
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