ヘリセンは芳香環がオルト位で縮環したらせん状の非平面多環式芳香族化合物であり,末端同士の立体反発によるキラリティーを有することから,新しい有機材料としての応用が期待されている.しかし,ヘリセンの合成には一般に多段階を要し,蛍光量子収率も低いことが課題であった.本研究では市販品で入手な出発物質を用いて,わずか2工程で対称ポリアザ[5]-[9]ヘリセンを合成した.それらの光物性を評価したところ非常に高い量子収率,あるいは円偏光発光特性を示した.本合成を応用することにより,さらに優れた円偏光発光特性を有する材料の開発へ応用できることが示唆された.
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