炭素-水素(C-H)結合などの不活性な結合を温和な条件下で変換する触媒の開発を目指し,ケイ素で金属に結合するシリル配位子部分を導入したキレート配位子を持つ金属錯体を設計・合成し,それらの触媒作用を調べた。主な成果として,後周期遷移金属(イリジウムおよびルテニウム)のシリルキレート錯体が,(1) ベンゼン-d6の炭素-重水素(C-D)結合活性化を経るトリアルキルシランのSi-H重水素化,(2) 芳香族化合物のC-Hボリル化,(3) 二酸化炭素のヒドロシリル化,および(4) ベンゼン-d6とのH/D交換によるトリアルキルホスフィンのC-H重水素化,の触媒となることを明らかにした。
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