研究課題
今年度は、4つの五員環縮環構造を持ち、縮環部位にまで芳香族サーキットが拡がった四重縮環ポルフィリン(QFP)にπ拡張キノンとしての特性を付加する目的で、縮環アリール部位に、2つのヒドロキシ基を導入した誘導体を設計・合成した。ヒドロキシ基の導入は、縮環するメソ位アリール基のうち2つのパラ位に、メトキシ基を導入したQFP誘導体に対して、三臭化ホウ素を作用させ、メチル基を切断することで行った。目的のジヒドロキシQFPの生成は、1H NMR測定などの他に、DMF/MeOHから再結晶した単結晶を用いたX線結晶構造解析によって確かめた。得られたジヒドロキシQFP誘導体の酸化還元特性を明らかにするために、DMF中で電気化学測定を行った。ジヒドロキシQFP誘導体は、+0.21 V vs SCEに二電子酸化過程を示した。一方、塩基としてジヒドロキシQFP誘導体に対して2当量のTetrabutylammonium hydroxideを添加すると、脱プロトン化したQFP誘導体が得られた。この脱プロトン化したQFP誘導体の第一酸化電位は、ジヒドロキシQFP誘導体に比べて大きな低電位シフトを示し、-0.26 Vおよび -0.02 V vs SCEに、分裂した2つの1電子酸化還元過程を示した。ここでは、中間体としてセミキノンラジカル構造を含む逐次的な酸化過程が生じていることが推定された。これは、ヒドロキシ基の脱プロトン化により、セミキノンラジカル構造が安定化されたことを示唆している。
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