研究課題
基盤研究(C)
精神疾患や認知症の克服に資するため、神経回路研究用の高感度な低分子プローブを開発することを目的とした。種々の新規なキノリルピロール類を合成し,電位応答を測定したところ,このうちの一つが117 mVの膜電位変化に伴って蛍光強度が6.8倍ほど増大させることがわかった。この色素はHEK293細胞やマウスNeuro2A細胞での検討も行った。以上の成果は学協会誌論文および学会等で発表した。
生物有機化学
本研究により,新たな高感度膜電位感受性色素を開発する基礎ができたことは,神経回路の解析研究の進展を通して,将来の精神疾患や認知症、神経疾患の克服に資すると期待される。また,合成したキノリルピロール類の蛍光特性の解析により,これらが強いソルバトクロミズムを示すことを明らかにできた。このことは今後,高感度な膜電位感受性色素の分子設計指針の確立に利用していく予定である。さらに本研究は,蛋白質中のヒスチジン残基に選択的に反応するリンカー分子を見出した。この分子は神経細胞標的型プローブの開発だけでなく,様々な生体関連分子の開発に利用できると考えられる。