研究実績の概要 |
meso位にフェニル基または4-ピリジル基を導入した6種のポルフィリン(TPP, MPyTPP, cisDPyDPP, transDPyDPP, TPyMPP, TPyP)を合成し、溶媒熱合成法・;直観拡散法を用いてそれらの遷移金属錯体の合成を行った。trans位にピリジル基を有するtransDPyDPP, TPnMPP, TPyPとCo, Mnイオンを用いた溶媒熱合成によって本研究の目的とする一次元ナノチャネルを有する配位高分子化合物が得られた。単結晶X線結晶構造解析により、ナノチャネル内に取り込まれた溶媒分子を含めた構造決定を行った。このうちtransDPyDPP_Co, transDPyDPP_Mn, TPnMPP_Mn, TPyP_Co, TPyP_Mnが本年度得られた化合物であり、TPnMPP_Mnは新規化合物であった。得られた一次元ナノチャネルを持つ配位化合物の熱測定により、ナノチャネルの内側に6つのピリジル基が向いているTPyP_Mnと6つのフェニル基が向いているtransDPyDPP_Mnでは空港内部に取り込まれた溶媒の脱離・再吸着の挙動がことなり、ポルフィリンの置換基を変える事により空港内部の性質が変化する事が明らかになった。またTPyP_Coは溶媒熱合成により作製した直後は空港内部に溶媒のエタノールと水が取り込まれているが、加熱して溶媒を脱離させた後空気中の水分子を吸着させることにより一次元空孔内部に水分子が水素結合で連なった水分子のナノチューブが形成されることが分かった。またtrans位にピリジル基を有するtransDPyDPP, TPnMPP, TPyPの合理的な合成方法を確立した。
|
今後の研究の推進方策 |
一次元ナノチャネル構造体内部に溶媒を包接したtransDPyDPP_Co, transDPyDPP_Mn, TPnMPP_Mn, TPyP_Co, TPyP_Mnのうち、主に水を含んだ化合物について単結晶での誘電率の測定を研究協力者と協同して行う。また、フラーレンを一次元ナノチャネル内に配列させた配位高分子を得る為に、meso四置換体であるtransDPyDPP, TPnMPP, TPyP, TPyPよりも大きな空孔を形成すると思われる5,15-ビスピリジル置換体5.15-PyP(本年度合成法を確立)を大量合成し、フラーレン共存下溶媒熱合成法・拡散法を行うことにより、配位高分子で形成された一次元ナノチャネル内にフラーレンが配列した超分子構造体の構築を目指す。得られた金属ポルフィリンーフラーレン構造体の構造を単結晶構造解析により明らかにし、またそれらの電気化学的性質を研究協力者と協同して行う。
|