研究課題/領域番号 |
16K05769
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
芝原 文利 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60362175)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 配位子 / カルベン / 複素環 |
研究実績の概要 |
前年度の研究において、われわれの期待通り、イミダゾ[1.5-a]ピリジンから導かれる含窒素複素環カルベンは、従来型のカルベンと比較し、電子受容能が高いことが示された。また、前倒しで実施した、この性質を意識した触媒反応調査では、特にこのような配位子をもつ金属錯体が加速させると考えられるβー水素脱離および不飽和結合の挿入反応をともなう反応、ロジウム錯体をもちいるアルコールを水素源にするケトンの水素移動型還元反応で顕著な触媒活性向上が見られることが明らかになっていた。そこで、この知見を踏まえ、同じくロジウム錯体による、アルキンの重合反応を検討したところ、この場合も従来型のカルベン配位子をもつ錯体に比べ有意な加速効果が見られた。さらに、パラジウム錯体をもちいる、アルキンの水素移動型反応による半還元にも適用したところ、この場合も顕著な加速効果が見られた。 一方、含窒素複素環カルベン型配位子は、複素環平面と受容性軌道の方向性が金属のもつ被占軌道との重なりに一定の制限を与える。そこで、新たに配位可能部位を導入した化合物を合成し、二座配位可能な構造をもたせた化合物を合成し、その配位の有無での物性の変化に注目した。結果として、新たに導入した配位子の配位の有無により、現状因果関係は明確にはなっていないが、例えば、辻ートロスト反応に適用した場合、二座配位構造をもたせた錯体での反応が、大きく加速されることが予備的に明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
対象のカルベン型配位子の触媒反応への応用例が予定よりも多く展開できており、また、期待していた効果が予想以上に発揮されることが分かってきており、すでに当初目的を超えた新しい展開が見えてきているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり、現状、予備的な結果としてしか得られていないそれぞれの触媒反応の検討をまとめていく。また、次の展開の予備検討として、イミダゾピリジンカルベン配位子の立体効果の触媒活性への影響に鑑みた検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費で注文した輸入品の価格が不明確で、最終的に1200円の残高が生じたが、額が少額であったため、無理に使用せず次年度に合わせて使用することにした。
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