研究課題
ある特定の分子を認識可能なDNAをDNAアプタマーといい,抗体に変わる分子認識素子として注目されている。DNAアプタマーを得る進化工学手法としてSELEX法(in vitro selection法)が知られているが,動物細胞や最近に対するSELEX方は1~数ヶ月もの長時間を要し,かつ高アフィニティーのアプタマーが得られるとは限らないといった課題が存在する。本研究の目的はキャピラリー電気泳動法(CE)を基盤として,細胞(粒子系)とDNA(分子系)の高度な濃縮-分離-分取を達成することで,動物細胞・細菌細胞・ウィルスに対して高アフィニティーなDNAアプタマーを数日~一週間以内で確実に獲得できる新規方法論を確立することである。CEを用いた細菌および動物細胞に対する選抜法(PectI選抜法)および次世代シーケンサー(NGS)による配列決定とアプタマー候補配列の探索は前年度までに完了している。本年度はNGSによって得られた配列情報の中からアプタマー配列をデータマイニング可能な手法の開発を行った。この際,選抜試料(ランダムDNAライブラリーと細胞の混合物)を数度洗浄した後にPectI選抜を1回の工程(1ラウンド)で行うことで非特異的結合を抑制することで,得られた配列情報を多重配列アラインメントあるいはペアワイズ分類クラスタリングすることで高アフィニティーなアプタマー配列がクラスターとして抽出できるかを検証した。その結果,選んだ5配列全てがPC-9細胞に強く結合するアプタマーであることが判明した。ランダムに配列を選んだ場合にはアプタマーである確率は80%以下であったことからアプタマー配列と非結合DNA配列を判別できたものと考えている。
日経産業新聞2018年10月18日に「合成DNA薬 治療効果20倍」として紹介された
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Analytica Chimica Acta
巻: 1032 ページ: 188-196
10.1016/j.aca.2018.05.077