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2016 年度 実施状況報告書

ナノ積層構造を有した機能性バイオチップによる高感度バイオセンシング法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K05824
研究機関東京工科大学

研究代表者

矢野 和義  東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (40262109)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードプロテオミクス / アプタマー / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光増強
研究実績の概要

初年度においては、ナノ積層構造におけるプラズマ重合膜の改良と新たな生体分子固定化方法を模索した。これまでの我々の研究では、光透過膜としてのプラズマ重合膜を作製するのにヘキサメチルジシロキサン(HMDS)を用いていたが、この膜上に固定化するタンパク質の種類によっては物理吸着を行えず、アッセイに適さないことがあった。そこで初年度ではモノマーとしてHMDSの代わりにアセトニトリルを用いることにした。アセトニトリルをモノマーとしたプラズマ重合膜はその表面にアミノ基を有することが知られており、この官能基が様々な固定化方法に利用できると期待される。
まずアセトニトリルをモノマーとしたプラズマ重合膜がHMDSのときと同様に蛍光増強現象を引き起こすかを検証した。ガラス基板の上に銀膜と様々な膜厚のアセトニトリル膜を順次積層することでナノ積層構造を構築し、その上にCy5標識DNAをスポッティングして二次元蛍光像を観察した。その結果、アセトニトリル膜の膜厚が約50 nmのときにガラス基板と比べて約6倍蛍光が増強されることが確認できた。
次に、アセトニトリル膜のみを製膜したガラス基板を2.5%グルタルアルデヒド溶液に浸し、さらにマウスIgG溶液、またはラビットIgG溶液と反応させ、アミノ基を介したタンパク質の共有結合を試みた。その後Alexa 647抗マウスIgG抗体と反応させることでイムノアッセイを行い、洗浄後基板の二次元蛍光像を検出した。その結果、抗原特異的な検出は確認できたものの、ナノ積層基板より未修飾のガラス基板を用いたときの蛍光シグナルが大きかった。そこで様々なグルタルアルデヒド濃度で再度イムノアッセイを行ったところ、25%のときに最も高い蛍光シグナルが得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生体分子のプラズマ重合膜への強固な固定化は、今後のナノ積層構造を利用した高感度バイオアッセイに不可欠である。初年度では初めて光透過膜としてアセトニトリルを用いたプラズマ重合膜をナノ積層構造に採用したところ、蛍光物質Cy5の蛍光増強に成功した。これにより、プラズマ重合膜表面のアミノ基を利用した強固な生体分子固定化への道が開けた。一方、このアセトニトリル膜とグルタルアルデヒドとの組み合わせでタンパク質の固定化を試みたところ、未修飾のガラス基板と比べて十分な固定化の効果は確認できなかった。しかしながら、グルタルアルデヒド溶液の濃度を中心にした固定化条件の最適化の可能性は示された。

今後の研究の推進方策

アセトニトリル膜とグルタルアルデヒドとの組み合わせによる固定化方法を確立するため、今後はグルタルアルデヒド溶液やタンパク質溶液の濃度、各反応時間などにおいてさらに詳細な条件検討を行い最適化を図る。さらにこの知見を活かして、マウスIgG以外にも様々なタンパク質やDNAを固定化素子として用いて、固定化タンパク質の抗体による検出、プローブDNAによるターゲットDNAの検出、さらにDNAアプタマーによる標的疾病タンパク質の検出を試みる。

次年度使用額が生じた理由

試薬やプラスチック機器などの消耗品を予定より安く購入できた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額と合わせた次年度助成金では、引き続き様々な標的タンパク質やDNA、プラスチック機器などを購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Enhancement of Fluorescence-Based Sandwich Immunoassay Using Multilayered Microplates Modified with Plasma-Polymerized Films2017

    • 著者名/発表者名
      Kazuyoshi Yano and Akira Iwasaki
    • 雑誌名

      Sensors

      巻: 17 ページ: 37~46

    • DOI

      10.3390/s17010037

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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